2020 Fiscal Year Research-status Report
複合的アプローチを用いた多発性嚢胞腎の新規病態メカニズム解明
Project/Area Number |
19K07318
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西村 有平 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30303720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白水 崇 三重大学, 医学系研究科, 助教 (00582678)
稲垣 昌樹 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30183007)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一次線毛 / 脂質ラフト / Akt / 多発性嚢胞腎 / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性嚢胞腎は、両側の腎臓に嚢胞が無数に生じ、最終的には腎不全に至る遺伝性の疾患である。線毛病との関連性が明らかにされているが、その病態メカニズムは不明な点が多く残されている。線毛の機能をより深く理解することは、多発性嚢胞腎の病態解明と新たな治療法の開発に重要である。 2019年度は、公共データベースに登録された3種類の多発性嚢胞腎モデルのトランスクリプトームデータのメタ解析から、これらのモデルに共通して発現が変動する遺伝子を見出した。 2020年度は、一次線毛の新たな役割解明を目的として、脂肪前駆細胞の分化制御機構を解析した。その結果、脂肪分化刺激によるAktシグナルの活性化には、脂肪前駆細胞の細胞膜における脂質ラフトが一次線毛の根元に移動することが重要であること、一次線毛の長さが通常よりも伸長すると脂質ラフトの一次線毛への移動が低下し、脂肪分化が抑制されることを見出した。Aktシグナルは多発性嚢胞腎の病態と関連しており、一次線毛による脂質ラフトの動態制御機構の発見は、多発性嚢胞腎の病態解明に新たな視点を与える研究成果と考えられる。 2019年度に同定した多発性嚢胞腎関連遺伝子の中には、脂質ラフトやAktシグナルと関連するものが含まれている。そこで2021年度は、これらの遺伝子が一次線毛の形成や脂質ラフトの動態に与える影響、多発性嚢胞腎の病態との関連性について解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多発性嚢胞腎の病態における一次線毛の新たな機能解明につながる研究成果を得られており、本研究はおおむね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2019年度に実施した解析と、多発性嚢胞腎に関する新たな公共トランスクリプトームデータを用いたin silico解析から同定される疾患関連候補遺伝子に関して、我々が以前に作成した多発性嚢胞腎モデルゼブラフィッシュを用いて、一次線毛の形成と脂質ラフトの動態に与える影響を中心に解析し、多発性嚢胞腎の病態理解の深化を目指す。
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Causes of Carryover |
2021年度は顕微鏡システムの老朽化に伴い、交換する部品が増加することが見込まれる。その費用に充てるため、次年度使用が発生した。
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