2020 Fiscal Year Research-status Report
核膜孔複合体因子を介した子宮内膜がん悪性化機構の解明
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19K07398
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 亜紀子 金沢大学, 新学術創成研究機構, 特任助教 (00345662)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核膜孔複合体 / 子宮内膜がん |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、子宮内膜がん患者データを用い、子宮内膜がんの悪性化と核膜孔複合体(NPC)因子のかかわりを検証した。その結果、NPC因子の一つが過剰発現している子宮内膜がん患者の生存率が著しく低下していることを見出した。さらに、NPC因子の発現とタイプ2子宮内膜がん患者において発現が低下している遺伝子群の発現に負の相関があり、NPC因子が子宮内膜がんの悪性化に関わることが示唆された。そこで、研究代表者はNPC因子が子宮内膜がんの悪性化に何らかの役割を果たしていると仮説を立て、NPC因子が関わる子宮内膜がん悪性化メカニズムを解明することを本研究の目的としている。昨年度はNPC因子の発現量が異なる細胞株の作製に成功し解析を行ったところ、予想通り、NPC因子の発現レベルと自己複製能、未分化性に相関があった。さらに、NPC因子の発現レベルは、代謝にも影響を与えているという想定外の新たな知見を得た。また、ターゲット分子特定のために、免疫沈降物のLC-MS解析を行い、相互作用分子を何種類か見出した。今年度は候補ターゲット分子に含まれる代謝にかかわる因子とNPC因子の相互関係について、その細胞内局在や発現解析を行い、その相互作用が子宮内膜がんの悪性化の一端を担っているという結果を得た。これらの結果から、がんの悪性化に効果があると考えられる薬剤候補も見いだすことができた。一方、NPC因子が新型コロナウイルスの構成タンパク質と相互作用しているという報告から、その詳細について調べたところ、新型コロナウイルスタンパク質ORF6が宿主NPC因子と相互作用することにより、宿主の核内から細胞質へのmRNA輸送阻害をしていることを明らかにし、第一著者、責任著者として論文発表した。 現在は、NPC因子がターゲット候補分子とともに子宮内膜がんの悪性化に関わるメカニズムの詳細について精力的に解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核膜孔複合体(NPC)因子の発現レベルが子宮内膜がんの進展に何らかの影響を与えているという仮定に基づき立てた研究計画に対し、候補ターゲット分子とNPC因子との相互作用の詳細について研究を進めることができた。相互作用を明らかにできたことで、子宮内膜がんの悪性化に効果があると考えられる薬剤の候補も見いだすことができた。また、新型コロナウイルスがNPC因子をターゲットとし、宿主タンパク質合成を阻害している新しい知見も得ることができた。しかしながら、悪性化のメカニズムの詳細について完全解明には至っていないこと、また今年度は新型コロナウイルスの影響等で、研究内容を学会にて発表することができなかったため、現在までに当研究はおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画通り進める予定である。NPC因子と相互作用因子による子宮内膜がんの悪性化メカニズム、さらに候補薬剤の検証をマウスを用いて行い、論文発表する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度共同研究者としての大学内のグラント獲得により、予想以上に研究費が潤沢となり、研究もおおむね順調に進んだため、次年度使用額が生じた。しかしながら、子宮内膜がんの悪性化メカニズムの詳細を完全解明には未だ至ってはいないため、試薬や消耗品に次年度使用額を充てて行う予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] High-Speed AFM Reveals Molecular Dynamics of Human Influenza A Hemagglutinin and Its Interaction with Exosomes2020
Author(s)
Keesiang Lim, Noriyuki Kodera, Hanbo Wang, Mahmoud Shaaban Mohamed, Masaharu Hazawa, Akiko Kobayashi, Takeshi Yoshida, Rikinari Hanayama, Seiji Yano, Toshio Ando, Richard Wong
Organizer
NanoLSI Symposium (4th) (Kanazawa)
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