2020 Fiscal Year Research-status Report
新規炎症性細胞死ネクロプトーシスを可視化する生体イメージング技術の開発
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19K07399
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
森脇 健太 東邦大学, 医学部, 准教授 (70778068)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ネクロプトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでネクローシスは物理化学的な要因や栄養の枯渇などによって特定の分子には依存せずに引き起こされると考えられてきたが、近年ネクローシスを引き起こす細胞内分子機構が発見され、制御性ネクローシスという概念が確立されてきた。ネクロプトーシスはTNF(tumor necrosis factor)などのサイトカインや細菌・ウイルス成分などによって引き起こされる制御性ネクローシスである。各種受容体からのシグナルはRIPK3(receptor interacting protein kinase 3)という細胞質内セリン・スレオニンキナーゼに集約される。TNF受容体の下流では、RIPK3はRIPK1と結合し、アミロイド様高次構造体を形成する。この高次構造体の中でRIPK3は自己リン酸化によって活性化される。その後、活性化したRIPK3が下流分子であるMLKL(mixed lineage kinase domain like pseudokinase)をリン酸化してシグナルを伝達する。リン酸化されたMLKLはオリゴマーを形成し、細胞膜などの生体膜にポアを形成してネクロプトーシスを実行する。本研究ではネクロプトーシスの可視化を目指し、本年度では昨年度に引き続き、MLKLに着目して、複数の可視化手法を検討し、培養細胞を用いてその有効性を検討した。検出感度、効率、シグナル強度などの検討を行った。また、ネクロプトーシスの誘導に必須のRIPK3, MLKLなどを対象にした遺伝子改変、遺伝子発現抑制、阻害剤などの手法によって、特異性についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
活性化MLKLを可視化するための複数の可視化手法を作成し、その検出感度、効率、シグナル強度などの検討を行った。また、ネクロプトーシス関連分子のノックアウト細胞ならびに各種阻害剤を用いて、特異性について検討を行った。シグナル強度が十分でなかったため種々の改善を加え、また内在性分子を欠損させるなどの検討を行ったことでやや進捗に遅れが見られたが、種々の検討の結果有用な情報が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
高感度、高効率にネクロプトーシスを検出できるようにするために、改善を加え、検出感度、効率、特異性などについての検討を進める。
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Causes of Carryover |
異動により、購入予定であった試薬や解析に必要となる機器の使用料が必要なくなったため。また、コロナ禍のために参加予定であった多くの学会・研究会が中止となり、さらに旅費が不要となったため。本次年度使用分は次年度において必要な消耗品の購入にあて、より効率よく研究を実施できるようにする。
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Research Products
(9 results)