2021 Fiscal Year Research-status Report
PIPを用いた変異mtDNAを標的とする選択的がん増殖抑制の検討
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19K07408
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
越川 信子 千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 主任上席研究員 (90260249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹永 啓三 千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 特任研究員 (80260256)
永瀬 浩喜 千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 研究所長 (90322073) [Withdrawn]
渡部 隆義 千葉県がんセンター(研究所), がん研究開発グループ, 研究員 (60526060)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PIP-TPP / mtDNA / 病原性mtDNA変異 / 子宮癌 / SNP |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮がんは、近年死亡率が増加傾向にあり、進行性または再発性の子宮頸がんの予後は依然として不良である。我々は、腫瘍学的標的DNAに結合可能なポリアミド(PIP)を用いることとした。PIPは、アルキル化剤であるseco-CBIと結合したPIPが目的の標的DNAに結合し、抗癌効果を発揮する能力を実証している。同様の効果は、16,569 bpの二本鎖環状分子であるヒトミトコンドリアDNA(mtDNA)を標的とする場合、mtDNA標的化部分に対するPIPにTPP カチオンの添加によって達成される可能性がある(PIP-TPP)。mtDNAのヒストンの欠如と効率的な修復システムは、体細胞変異に対する感受性につながることが多く、癌の進行に大きく関係している。女性のがんの場合、ミトコンドリア制御領域の特定の変異は、子宮頸がんおよび子宮内膜がんに関連している。mtDNAの小サイズは、ミトコンドリア変異を標的とした時、PIPの非特異性が減少するため、特定の癌タイプの進行を調節する魅力的な方法と考えられる。ただし、mtDNAには既知の変異ホットスポットがないため、肥大型心筋症、結腸、乳房、および卵巣に関連するATP6遺伝子の頻繁かつしばしば発癌性のホモプラスミック変異体(8860G)を標的とするPIP-TPP、CCC-h1005を合成した。そして、HeLa細胞と他の子宮頸癌細胞に対する影響を検討した。結果は、CCC-h1005が子宮頸がん細胞株、シスプラチン耐性HeLa細胞、および患者由来の明細胞がんhEa-1細胞でアポトーシスを誘導したが、mtDNA変異体を含む正常な皮膚線維芽細胞(HDF)ではアポトーシスを誘導しないことを示唆した。重篤な副作用のないHeLa異種移植マウスモデルにおける腫瘍増殖抑制も観察した。この結果から、子宮癌を治療するためのmtDNAを標的とするPIP-TPPの有効性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類のSNPを標的とし、各々PIP-TPPを合成することに成功した。ポリアミドは合成がやや難しく、除湿等に困難があった。また、代表者である越川が、骨折のため3ヶ月間の入院を余儀なくされ、研究の進行にに若干の支障をきたした。しかし、現在英語ジャーナルへの論文投稿に至っており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
論文投稿の準備中である。 今後はSNPを用いたPIP-TPPで異なる癌腫での癌増殖の抑制が出来るか否かを検討したい。また、同様なmtDNA変異を持ちながら、HDFでは影響が影響がほとんどなかったことから、PIP-TPPの癌細胞への効果の機序を探りたい。
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Causes of Carryover |
研究代表者が3カ月間入院したため、やや研究が遅れてしまった。そのため、論文作成、研究のさらなる追加実験が年度を跨いでしまったため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Characterization of Cancer Genome-wide Binding of Pyrrole-Imidazole Polyamide-Vorinostat Conjugates by Machine Learning2021
Author(s)
J. Lin, I.Hosoya, S. Sakuma, Y, Kida, T, Watanabe, S. Yamamoto, A. Takatori, N. Koshikawa, H. Nagase
Organizer
第80回日本癌学会学術総会
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