2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K07432
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中澤 匡男 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10345704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 邦夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10377583)
近藤 哲夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30334858)
大石 直輝 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90623661)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | TIGIT / 甲状腺 / 未分化癌 / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺濾胞上皮由来の悪性腫瘍の大部分は予後が非常に良好な乳頭癌、濾胞癌が占める。分化型の甲状腺癌であり、患者予後は非常に良好である。一方、未分化癌は発頻度は1~2%程度であるが、極めて予後不良であり、診断から死亡までの期間も短い。それらの中間的な生物学的態度を示す甲状腺癌として低分化癌が存在する。 これまで免疫チェックポイントである T-cell immunoreceptor with immunoglobulin and tyrosine-based inhibitory motif domains (以下 TIGIT) の発現を検討してきた。PD-1/PD-L1、CTLA-4 と同様、種々の免疫細胞と連動して腫瘍免疫機能に対して抑制的に機能する。そのタンパク発現は腫瘍免疫治療のターゲットとしても期待される。 昨年度までは腫瘍様病変である未分化癌34例の対象として、腺腫様甲状腺腫7例、濾胞腺腫13例、分化癌として濾胞癌11例、乳頭癌34例における TIGIT の発現を免疫組織化学法を用いて検討してきた。今年度はこれらに加えて低分化癌12例の検討も行った。 その結果、腺腫様甲状腺、濾胞腺腫、濾胞癌、乳頭癌の腫瘍細胞に陽性を示した症例が存在しなかった(0%)。一方、未分化癌では 19/34, 55.9% の症例で腫瘍細胞に発現が認められた。また、低分化癌での陽性症例の割合は3例、25%であった。この頻度は高分化な甲状腺癌と未分化癌との間に相当し、この腫瘍の生物学的態度を反映する結果といえた。また、未分化癌の発生には分化癌から低分化癌を介した未分化癌への多段階的なプログレッション過程が考えられている。本研究結果はTGITを発現する未分化癌細胞は低分化癌細胞由来とみなされ、この仮説を支持するものであった。
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