2019 Fiscal Year Research-status Report
Analyses of Tumor-Associated Macrophage in Lung Cancer with Next Generation Sequence and Tissue Clearing
Project/Area Number |
19K07454
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
後藤 明輝 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (90317090)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正光 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (20291396)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 肺癌 / マクロファージ / 次世代シーケンス / 組織透明化 / TP53遺伝子 / PIK3CA遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は“非小細胞肺癌での腫瘍関連マクロファージ(TAM:Tumor-Associated Macrophage)の多寡を決める癌の遺伝子異常は何か”を次世代シーケンス解析により明らかにし、“腫瘍関連マクロファージの3次元的(立体)分布状態やその意義”を組織透明化技術により明らかにすることにある。 初年度である本年度は以下の実績を得た。 1.CD68(マクロファージ共通マーカー) およびCD204(M2マクロファージマーカー)を用いて腫瘍関連マクロファージを計測済みの秋田大学医学部付属病院の非小細胞肺癌手術症例297例より、癌間質腫瘍関連マクロファージの多い症例15例、少ない症例15例、総計30例を選定し、症例の凍結保存癌組織よりDNA抽出を行い、DNA quality checkのうえターゲットシーケンス(TruSight Tumor 15)を施行した。その結果、TP53遺伝子異常を有する非小細胞肺癌で腫瘍関連マクロファージが多いこと、KRASおよびEGFR遺伝子異常と腫瘍関連マクロファージの関連はみられないことが明らかになった。また、PIK3CA遺伝子異常が腫瘍関連マクロファージと相関する可能性が示唆されたが、PIK3CA遺伝子異常を有する非小細胞肺癌症例が少なく、その意義を明らかにするためには多数例での検証が必要であると考えられた。2.組織透明化技術を用い、ヒト肺組織でCD68, CD204陽性マクロファージを300-500マイクロメートル厚にわたり3次元的に評価可能であることが検証された。 以上の実績をもとに次年度以降の研究を当初計画どおりすすめ、研究目的を達成する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は“非小細胞肺癌でのTAM(Tumor-Associated Macrophage)の多寡を決める癌の遺伝子異常は何か”を次世代シーケンス解析により明らかにし、“TAMの3次元的(立体)分布状態やその意義”を組織透明化技術により明らかにすることにある。初年度である本年度は、1.TAMの多寡に関わる癌の遺伝子異常候補を次世代シーケンス解析により同定すること、および2.組織透明化によるTAM分布の3次元観察に必要な技術の確立、を研究課題として計画している。1.についてはTP53遺伝子異常を有する症例でTAMが多いこと、KRASおよびEGFR遺伝子異常とTAMの関連はみられないこと、およびPIK3CA遺伝子異常がTAM数とかかわる可能性があること、を明らかとすることができた。2.については従来免疫組織化学的検討で用いていたCD68およびCD204に対する抗体が組織透明化を併用した免疫組織化学でも有用であることを実証することができた。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は“非小細胞肺癌でのTAM(Tumor-Associated Macrophage)の多寡を決める癌の遺伝子異常は何か”を次世代シーケンス解析により明らかにし、“TAMの3次元的(立体)分布状態やその意義”を組織透明化技術により明らかにすることにある。その目的の達成に向け、本年度の成果にもとづき、次年度は1.TAMを計測済みの秋田大学医学部付属病院の非小細肺癌手術症例297例につき、TP53遺伝子異常やPIK3CA遺伝子異常とTAM数の相関を検証する。遺伝子異常の検出には、各症例のホルマリン固定パラフィン包埋標本より抽出したDNAのサンガーシーケンスにより行う。その結果をもとに、リキッドバイオプシーによるTAMの間接的評価を目指す。2.本年度に確立した技術にもとづき、非小細胞肺癌手術標本(200例程度)を組織透明化の後、マクロファージ―マーカーとの蛍光重染色で、TAMと癌細胞の立体的位置関係にいくつかのパターンを見出すことを目指す。また、このパターンが持つ臨床病理学的意義の検証を行い、2次元でのTAM分布状態(癌周囲肺胞/癌細胞胞巣/癌間質)を超える意義を持った予後因子の発見を目指す。いずれも、当初の研究計画にもとづいた今後の研究の推進方策である。
|
Research Products
(16 results)