2021 Fiscal Year Research-status Report
Analyses of Tumor-Associated Macrophage in Lung Cancer with Next Generation Sequence and Tissue Clearing
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19K07454
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
後藤 明輝 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (90317090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正光 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (20291396)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / 腫瘍関連マクロファージ / TP53遺伝子異常 / 組織透明化技術 / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は“非小細胞肺癌での腫瘍関連マクロファージ(TAM:Tumor-Associated Macrophage)の多寡を決める癌の遺伝子異常は何か”を次世代シーケンス 解析により明らかにし、“腫瘍関連マクロファージの3次元的(立体)分布状態やその意義”を組織透明化技術により明らかにすることにある。研究3年目である 本年度は以下の実績を得た。 1. 過年度研究にて、非小細胞肺癌手術症例凍結保存癌組織のターゲットシーケンス(TruSight Tumor 15)、サンガーシーケンスにより、TP53遺伝子異常を有する非小細胞肺癌で腫瘍関連マクロファージが多いことが実証された。本年度は多数症例(280例)でTP53免疫組織化学を施行し、症例の予後不良性と相関するCD204陽性マクロファージの腫瘍間質浸潤でTP53陽性例は平均69.4個/0.5mm2であるのに対し、TP53陰性例で27.7個/0.5mm2とTP53遺伝子異常と腫瘍関連マクロファージの正の相関が実証された(p<0.005,t-検定)。2. 過年度研究にて、組織透明化技術を用いてヒト肺組織でCD68, CD204陽性マクロファージを300-500マイクロメートル厚にわたり3次元的に評価可能であることが検証されたため、非小細胞肺癌組織を用いて同様の染色を行い、CD68, CD204陽性マクロファージの立体分布の観察を施行した。当初想定した血管、リンパ管の立体分布とマクロファージの位置関係は血管、リンパ管の描出が困難であったため、明確な結果を得ることができなかった。3. 非小細胞癌手術病理検体の肺動静脈貯留血での腫瘍p53遺伝子異常検出を施行しており、手術病理検体での腫瘍関連マクロファージとの相関を検討中である。 以上の実績をもとに研究目的を達成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は“非小細胞肺癌でのTAM(Tumor-Associated Macrophage)の多寡を決める癌の遺伝子異常は何か”を次世代シーケンス解析により明らかにし、 “TAMの3次元的(立体)分布状態やその意義”を組織透明化技術により明らかにすることにある。本年度は以下の成果を得た。1. TP53遺伝子異常を有する非小細胞肺癌で腫瘍関連マクロファージが多く浸潤していることが280例の手術検体で実証された。2.非小細胞肺癌組織の組織透明化観察により、CD68, CD204陽性マクロファージの立体分布の観察は施行し得たものの、血管、リンパ管の立体分布とマクロファージの位置関係に関しては明確な結果を得ることができなかった。3. 本研究では1の結果に基づき、非小細胞肺癌症例でリキッドバイオプシーによる腫瘍関連マクロファージの評価を本研究では目指している。いわゆる前向き研究であるため、多数症例の検討が難しいが、一定の成果は得ている。 以上の進捗状況より、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は“非小細胞肺癌でのTAM(Tumor-Associated Macrophage)の多寡を決める癌の遺伝子異常は何か”を次世代シーケンス解析により明らかにし、 “TAMの3次元的(立体)分布状態やその意義”を組織透明化技術により明らかにすることにある。その目的の達成に向け、1.TAMを計測済みの秋田大学医学部付属病院の非小細肺癌手術症例280例につき、TP53遺伝子異常とTAM数の相関を中心とし、臨床病 理学的事項との関わりを複合的に解析し、その結果を英語論文として公表する。2.非小細胞肺癌組織の組織透明化観察により、CD68, CD204陽性マクロファージの立体分布の観察は施行し得たものの、血管、リンパ管の立体分布とマクロファージの位置関係に関しては明確な結果を得ることができなかった。その解決のた、血管、リンパ管の組織透明化切片での適切な描出法を考案する。3.非小細胞肺癌症例でリキッドバイオプシーによる腫瘍関連マクロファージの評価が可能かを検証するため、て非小細胞癌手術病理検体からの肺動静脈貯留血でTP53遺伝子異常の検索を行い、同一症例の病理組織標本で腫瘍関連マクロファージの評価を行う。 いずれも、当初の研究計画にもとづいた今後の研究の推進方策である。
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Causes of Carryover |
当初計画の遅延・変更による。具体的には、コロナ蔓延状況と研究代表者の実父の死去によるものである。使用計画として、研究目的を達成するため、物品費とその他(成果公表のための英文雑誌投稿費、英文校正費用)として使用することを計画している。
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Research Products
(11 results)