2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K07504
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
石垣 宏仁 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90432301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 靖 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90324566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GRP94 / GRP78 / HSP75 / LC-MS/MS / Neoself / exocytosis |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞の膜上に存在する GRP78とGRP94(以下、GRPs)が結合している膜蛋白を同定するために、カニクイザル癌細胞株の細胞膜蛋白質を単離し、GRPs抗体を用いた免疫沈降を行 った。免疫沈降された蛋白質をLC-MS/MSを用いて分析したところ、HSP75などを含むその他のシャペロンタンパクとCytokeratin2(CK2)が共沈した。そこで、CK2の細胞表面での発現をフローサイトメーターを用いて確かめたところ、細胞表面には発現しておらずコンタミネーションの可能性が考えられた。 またGRPsの細胞膜上への発現に、ネオセルフの機序が働いているかどうかを確かめるため、 MHCの細胞膜上での発現を IFN-gammaによる発現増強やBrefeldin A などの蛋白輸送阻害剤による発現阻害を行い、同時に GRPsの発現がMHCの発現とパラレルに変化するかを確かめたところ、IFN-gammaやBrefeldin Aの処理に伴うMHCの発現の変化とGRPsの変化はパラレルではなく、ネオセルフ機序に伴うGRPsの細胞表面への発現は否定的であった。 LC-MS/MSにより、共沈蛋白のほとんどがヒートショック蛋白であり、アンカータンパクが同定できないこと、ネオセルフの機序ではないことを踏まえ、GRPsはアンカータンパクにより細胞表面に表出するのではなく、小胞体が細胞外へ蛋白を輸送する際(exocytosis)に、小胞体の膜と細胞膜が融合することにより、細胞表面に表出するのではないかという仮説を立てた。細胞障害蛋白であるgranzyme Bが細胞外へ放出される際、小胞体内にあるCD107a(LAMP1)が細胞表面に表出する機序と同様である。 まずは腫瘍細胞の培養液中にGRPsが放出されているかをELISA方を用いて調べたところ、GRPsは培養液中に放出されていた。またこれらはBrefeldin Aによって阻害された。 以上の結果を踏まえ、次年度以降は、狭焦点レーザー顕微鏡と電子顕微鏡を用いて、腫瘍細胞のexocytosisを観察し、細胞膜上へのGRPsの発現を確かめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、抗GRPs抗体による免疫沈降産物のLC-MS/MSによる解析を行った。得られた結果は予想していたものとは異なっていたが、exocytosisによるGRPsの細胞膜上への発現という別の仮説を立てて、その裏付けをとる実験を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
、GRPsはアンカータンパクにより細胞表面に表出するのではなく、小胞体が細胞外へ蛋白を輸送する際(exocytosis)に、小胞体の膜と細胞膜が融合することにより、細胞表面に表出するのではないかという仮説のもと、狭焦点レーザー顕微鏡と電子顕微鏡を用いて、腫瘍細胞のexocytosisを観察し、細胞膜上へのGRPsの発現を確かめる。
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