2019 Fiscal Year Research-status Report
Study for a molecular machinery of the host recognition by Clostridioides difficile phage to develop the advanced therapy
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19K07560
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
阪口 義彦 北里大学, 医学部, 講師 (70403491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 はる 国立感染症研究所, 細菌第二部, 室長 (00273136)
大宮 直木 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00335035)
内山 淳平 麻布大学, 獣医学部, 講師 (20574619)
後藤 和義 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20626593)
妹尾 充敏 国立感染症研究所, 細菌第二部, 主任研究官 (20646624)
林 俊治 北里大学, 医学部, 教授 (40260765)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クロストリディオイデス・ディフィシル感染症 / CDI / ディフィシル菌 / バクテリオファージ / 溶菌酵素 / 腸内微生物叢 / 治療 / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロストリディオイデス(クロストリジウム)・ディフィシル感染症(CDI)は、抗菌薬関連下痢症・腸炎の1つであり、抗菌薬の使用等により正常な腸内微生物叢が乱れ、ディフィシル菌が過剰に増殖することにより発症する。CDI治療では、バンコマイシンやメトロニダゾールなどの抗菌薬が有効であるが、抗菌薬は選択性に乏しく結局は有益な腸内微生物叢を撹乱させるため、再びCDIが引き起こされることがある。従って、腸内微生物叢を撹乱せず、原因となるディフィシル菌のみを特異的に殺菌するCDIの新規治療法の確立が喫緊である。本研究課題では、新規治療法の候補の1つとして、バクテリオファージ(ファージ)に着目した。ファージは、宿主である細菌に対して特異的に結合し、自己の溶菌酵素により殺菌する活性を示す。このようなファージの特性を有効に利用したCDIの新規治療法の確立を目指し研究開発を行っている。そこで、まず、溶菌性ファージの単離を試みたが、分離株からは困難であったことから、次に、ファージが有する溶菌酵素について解析を行った。ディフィシル菌ファージのゲノム情報を基に、ゲノム上の個々の遺伝子について他のファージの溶菌酵素との相同性解析を行ったところ、2つのファージ由来溶菌酵素と予想される遺伝子(cdph33およびcdph34)を特定した。そこで、これらの遺伝子を基にHis融合タンパク質(CDph33およびCDph34)として、大腸菌で発現・精製した。精製した2つのタンパク質について、ディフィシル菌に対する溶菌活性を測定したところ、CDph34は活性を示したが、CDph33は高濃度下でも活性が認められなかった。CDph33とCDph34を組み合わせた場合では、CDph34の溶菌活性と比較してほぼ同等の活性であったが、両タンパク質を組み合わせた方が時間依存的に高い活性を示した。現在、詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、まず、ディフィシル菌臨床分離株から、溶菌性を示すバクテリオファージ(ファージ)の単離を行い、得られたファージの性状解析を行う予定にしていた。臨床分離株からの溶菌性ファージの単離を試みたが、現在の分離株からは困難であった。そこで、まずは、CDIの治療候補となるファージ由来の溶菌酵素について解析を進めている。現在、CDIの治療候補となる溶菌性ファージを得るために、今回検討した分離株とは異なるディフィシル菌を分離し、溶菌性ファージの単離を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波発生機一式を用いて、組換え溶菌酵素の発現・精製を行い、得られた遺伝子産物のディフィシル菌に対する溶菌活性を調べる。細菌に汚染した器具類は、高圧蒸気滅菌器を用いて滅菌する。 1)CDIの治療候補となる溶菌性のバクテリオファージ(ファージ)を得るために、さらにディフィシル菌株を分離し探索する。 2)様々なディフィシル菌株に対する溶菌活性の違いを検討するため、種々のディフィシル菌ファージ由来溶菌酵素を作製し、ディフィシル菌株間での活性について調べ、溶菌酵素の株間での宿主特異性を明らかにする。 3)また、他の菌種に対する溶菌活性についても調べる。
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Causes of Carryover |
次年度の研究計画では、バクテリオファージ(ファージ)の単離および性状解析を行うとともに、組換え溶菌酵素の機能解析をすすめる。今年度の未使用額は、次年度に繰り越して、本実験で使用する培地やアフィニティー担体などを購入し、研究を遂行することにした。また、研究分担者の未使用額も同様の目的で使用する予定である。
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