2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular understanding of the selective suppression of viral RNA by RyDEN - a guardian of translation regulation
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19K07596
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 陽一 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40432330)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RyDEN/C19orf66 / ウイルス RNA / 翻訳制御 / LARP1 / PABPC1 / チクングニアウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
病原ウイルスが細胞内に侵入すると、宿主はインターフェロン反応を中心として様々な防御機構を発現し、ウイルスの複製を抑制することが知られている。インターフェロンによってその発現が誘導される一群の細胞性分子は Interferon-stimulated genes(ISGs)とよばれるが、その中にはウイルスのタンパク翻訳段階を特異的に阻害する因子が含まれている。研究代表者は、先行研究においてデングウイルス(DENV)を含む様々なウイルスの複製を抑制する ISG として RyDEN(C19orf66)を同定した。RyDEN は、その機能がまだ完全に明らかになっていない分子であるが、RNA 結合性タンパクであること、そしてデングウイルス RNA の翻訳を阻害することが示されている。そこで、本年度は RyDEN が形成する細胞内複合体の生化学的解析をおこなった。エピトープタグを融合した組換え RyDEN をヒト細胞に発現し、免疫沈降法をおこなうことによって、RyDEN は別の細胞性タンパクである LARP1 そして PABPC1 と結合することが明らかとなった。また、蚊媒介性 RNA ウイルスであるチクングニアウイルス(CHIKV)を用いた感染実験の結果より、RNA 干渉法によって内在性 RyDEN をノックダウンした細胞では CHIKV の複製効率が高まるのに対し、LARP1 や PABPC1 をノックダウンした細胞ではウイルスの複製が抑制された。LARP1 と PABPC1 は mRNA の翻訳制御に関わる分子であることから、RyDEN はこれらの細胞性分子と複合体を形成することによって様々な RNA ウイルスの複製をコントロールする可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、RyDEN が形成する細胞内複合体の生化学的解析と、レポーター遺伝子をもつウイルス RNA を用いた RyDEN のタンパク翻訳における影響を解析する予定であった。免疫沈降実験によって RyDEN が翻訳因子 LARP1 ならびに PABPC1 と相互作用することが示され、さらに各因子のチクングニアウイルス感染における役割を明らかにした。しかし、他の RNA ウイルスにおける LARP1 と PABPC1 の機能については、感染実験に相応しい細胞を精査する段階にとどまっており、実施に至っていない。また、合成したウイルス RNA を用いたレポータータンパク翻訳アッセイにおいては、恒常的に RyDEN を発現する細胞の樹立が困難であったため、Tet-On遺伝子発現制御システムによる安定細胞株の作製へと変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020 年度においては、様々なヒト病原性ウイルス(デングウイルス、ジカウイルス、チクングニアウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルスなど)の複製における RyDEN の影響を明らかにする。そして、RyDEN による抑制効果が LARP1 と PABPC1 の発現に依存しているのか否かを RNA 干渉法によって調べる。次に、各ウイルスの mRNA に対する RyDEN の会合状態を RNA 免疫沈降法によって解析し、さらにはウイルス感染細胞と非感染細胞内で RyDEN が会合している mRNA の次世代シークエンサーによる網羅的同定を試みる。RyDEN のタンパク翻訳阻害に関する解析については、2019 年度に作製したドキシサイクリン誘導型 Tet-On 細胞株を用い、RyDEN が発現していない状態と発現している状態におけるウイルス mRNA からのレポータータンパク合成効率を検討する。また、免疫染色法によって RyDEN の細胞内局在、ならびに LARP1/PABPC1 との共局在を解析し、それらの局在がウイルス感染によってどのように変化するかを調べる。
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Research Products
(7 results)