2020 Fiscal Year Research-status Report
コレラ毒素による免疫アジュバント活性における小胞体ストレス応答の機能的意義の解明
Project/Area Number |
19K07628
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 泉 和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 講師 (80611037)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コレラ毒素 / IL-1β / IRE1α |
Outline of Annual Research Achievements |
コレラ毒素(Cholera toxin: CT)は毒素活性を有するAサブユニットと、糖脂質GM1に結合しCTの細胞内導入に関わるBサブユニット(CTB)から構成される。CTは毒性がある一方で免疫増強(アジュバント)活性があることも知られているが、その活性化機構は不明な部分が多い。 我々はCTBが、マウスの腹腔に常在するマクロファージ(腹腔マクロファージ)に作用し、リポ多糖(LPS)と協調して炎症性サイトカインIL-1βの産生を誘導すること、この誘導にGM1を介したCTBの細胞内侵入が必要であり、NLRP3インフラマソームとPyrinインフラマソームが関与することを明らかにした(Int Immunol, 2019 Outstanidng merit awardに選出)。そこで次に、CTBがどのようにインフラマソームを活性化するのかが重要になる。CTB刺激した腹腔マクロファージにおいて発現上昇する遺伝子をRNAseqにより網羅的に解析したところ、CTBはGM1依存的に小胞体ストレス応答関連遺伝子を発現誘導することがわかった。 本研究では、コレラ毒素による免疫アジュバント活性における小胞体ストレス応答の機能的意義を明らかにする。令和元年度において、小胞体ストレスセンサーIRE1αの阻害剤を用いた検討から、CTBがIRE1αを活性化しXBP1のmRNAスプライシングを誘導すること、この応答がIL-1β産生誘導に関与することが明らかとなったので、令和2年度では腹腔マクロファージにおけるCTBの細胞内局在を解析した。GM1欠損マウスを用いた解析から、CTBがGM1依存的に小胞体に輸送されること、小胞体においてCTBがIRE1αと共局在することを見出した。以上の結果から、CTBはGM1を介して細胞内に侵入後、小胞体に到達し、小胞体ストレスセンサーIRE1αに作用することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、コレラ毒素による免疫アジュバント活性における小胞体ストレス応答の機能的意義を明らかにすることである。令和元年度でIRE1αのCTBによるIL-1β産生誘導への関与が示唆されたことを受けて、令和2年度ではCTBとIRE1αの細胞内局在を解析し、両者が共局在することを明らかにすることができた。以上の観点から、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度および令和2年度に得られた成果を発展させる形で研究を進める。令和2年度においてマクロファージ特異的IRE1α欠損マウスを樹立することが出来たので、このマウスから腹腔マクロファージを調製し、CTBによるXBP1 mRNAのスプライシングやIL-1β産生誘導が障害されるかどうかを検討し、CTBによるIL-1β産生誘導における小胞体ストレスセンサーIRE1αの機能的意義を明らかにする。
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[Journal Article] The mechanism of Spi-B in transcriptional activation of interfereon-α4 gene.2020
Author(s)
Ryo Miyazaki, Hiroyuki Saiga, Takumi Kato, Takamitsu Bakoshi, Rina Senba, An Shintai, Makiko Suzuki, Kenjiro Takao, Izumi Sasaki, Akihiko Iizuka, Masanaka Sugiyama, Nana Iwami, Yuri Fukuda-Ohta, Hiroaki Hemmi, Takashi Tanaka, Minoru Miyake, Tsuneyasu Kaisho, Katsuaki Hoshino.
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications.
Volume: 525
Pages: 477-482
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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