2021 Fiscal Year Annual Research Report
オルガノイド培養を用いた難治性乳がんにおける休眠スイッチと悪性化分子機構の解明
Project/Area Number |
19K07635
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 哲俊 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (10835226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
山形 一行 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (60455912)
永野 秀和 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (60788876)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳癌 / p53 / 癌抑制遺伝子 / 3次元培養 / 休眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、変異p53による悪性形質獲得の分子基盤として「メバロン酸合成経路」と「イソプレノイドであるGGPP」が主要な役割を果たすことを明らかにしてきた。本年度は、このメバロン酸合成経路とGGPPがどのような分子メカニズムで機能しているかを明らかにすることを目的に、①3次元培養モデルを用いた検証、②ChIP assayによる変異p53標的遺伝子の探索、③Single Cell解析を用いた悪性形質獲得における下流シグナルの同定実験を推進した。変異p53細胞株(MDA-MB-231細胞)の悪性形質に対して3次元培養を用いて評価したところ、乳腺上皮の腺管構造が崩れたフェノタイプが観察され、変異p53 をCRISPR/Cas9にてノックアウトした細胞株(p53-KO株)では、悪性形質の細胞形態が消失した。この結果は、変異p53が乳がん悪性形質獲得に重要であることを示している。次に、変異p53の標的遺伝子をChIP Assayを用いて解析し、変異p53がメバロン酸合成経路の鍵因子である SREBP2の活性化を誘導する機序を明らかにした。次に、SREBP2を介したメバロン酸合成経路とGGPPの作用機序を明らかにするために、3次元培養モデルを活用してSingle Cell解析を実施した。興味深いことに、MDA-MB-231細胞は、5つの細胞集団に分類され、悪性化フェノタイプ獲得と関わりのあるクラスター特性として、フィロポディア関連のパスウェイが集積していることが明らかとなった。フィロポディア制御機構は、GGPP経路とRho-GTP活性を介したアクチンフィラメントの重合作用の役割を担っている重要な分子基盤である。今後、これらの知見を創薬基盤へと発展させることで、難治性乳がんにおける悪性化形質獲得を標的とした新たな治療法開発が期待できる。
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[Presentation] ヒトES細胞におけるDNA損傷応答シグナルとlncRNA~p53誘導型lncRNA群の同定とその機能2021
Author(s)
山形一行, 田村 愛, 長濱博章, 藤本真徳, 中山哲俊, 横山真隆, 橋本直子, 村田和貴, 西村 基, 田中知明
Organizer
第44回日本分子生物学会年会,
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[Presentation] Damaged intestinal stem cells are restored exclusively by daughter crypt cells that require ASCL2 and respond to Interleukin-112021
Author(s)
村田和貴, 藤本真徳, 高 躍, 宮 英博, 松田達磨, Zhahara Siti, 河野聡美, 宮本康基, 中山 哲俊, 横山真隆, 田中知明
Organizer
第39回内分泌代謝学サマーセミナー
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[Presentation] genetic subtypingに基づくコルチゾール産生腺腫の遺伝子発現・病理所見の包括的解析2021
Author(s)
樋口 誠一郎, 吉井聡美, 高 躍, 姚 躍, 永野秀和, 橋本直子, 中山哲俊, 西村 基, 山形一行, 横山 隆, 柴田貴久, 伴 俊明, 藤井陽一, 小川誠司, 田中知明
Organizer
第94回日本内分泌学会学術総会
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[Presentation] Multi-Omicsから視た機能性下垂体腺腫の転写ネットワークの役割2021
Author(s)
高 躍, 村田和貴, 堀口健太郎, 永野秀和, 橋本直子, 中山哲俊, 樋口誠一郎, 山形一行, 横山真隆, 岩立康男, 田中知明
Organizer
第94回日本内分泌学会学術総会
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