2021 Fiscal Year Research-status Report
Regulation mechanism of apoptosis-inducing death receptor localization allowing for survival in tumor cells
Project/Area Number |
19K07648
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小島 裕子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (60231312)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腫瘍細胞 / 細胞死 / DR5 / 局在 / 細胞内輸送 / タンパク質発現調節 / TRAIL |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜上で、リガンドであるTRAIL分子と結合して細胞死を誘導するDR5タンパク質が、腫瘍細胞内で合成された後、その輸送先を核か細胞膜かに仕分ける機能を持つ分子を探索する目的で、バーコード化された約6,500種類のヒトタンパク質に対する約55,000種類のshRNAを含む、ヒトゲノムワイドshRNAライブラリーモジュール#2(標的遺伝子:疾患関連遺伝子、薬剤標的遺伝子)をHEK293T細胞株に移入し、偽レンチウイルス粒子を調製、濃縮後、1個の細胞に対して複数のshRNAを持つウイルスが感染しないような条件で、TRAIL低感受性HeLa細胞株に感染、遺伝子導入した。shRNAと同時に導入した薬剤耐性遺伝子を持つ細胞をピューロマイシンで選択後、抗DR5抗体で蛍光標識し、shRNAと共に遺伝子導入したTag RFP発現細胞の中から、親株のHeLa細胞よりも細胞膜のDR5発現が高い細胞集団をFACSでソートした。採集した細胞を増殖後、同様のソートを繰り返し行った。この時、遺伝子は安定的に導入されたが、細胞膜のDR5発現が高い集団はなかなか濃縮されなかった。これと並行して、初回のFACSソートで得られた細胞のクローニングを行い、11個のクローンを得た。これらの細胞を、細胞膜のみのDR5発現と、細胞膜の他に核や細胞質を含む細胞全体のDR5発現の両方をFACSで解析したところ、細胞全体のDR5発現は変わらず、細胞膜でのDR5発現が有意に高いクローンを2個得た。更に、ヒトゲノムワイドshRNAライブラリーモジュール#1(標的遺伝子:シグナル伝達遺伝子)についても、モジュール#2と同様にHEK293T細胞株に遺伝子移入し、回収した偽レンチウイルス粒子をHeLa細胞株に感染、薬剤選択後にFACSで細胞膜のDR5発現が有意に高い細胞集団を回収した。これらをクローニングし、33個のクローンを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの遅れに加えて、遺伝子導入の際に同時に発現するマーカー分子:TagRFPの赤色蛍光が非常に明るく、蛍光スペクトル上では被らないと考えられた蛍光色素の組み合わせでも、実際のFACS解析では緑色蛍光への漏れ込みが大きく、補正が困難なことが、実験を進めるうちに判明。そのため、DR5検出用の蛍光色素を、緑色蛍光から青色蛍光に変える必要が生じた。この他、当初見込んでいたFACSでのソートによる、目的の細胞集団の濃縮・純化が思うように進まず、遺伝子移入の実験やFACSでのソートを繰り返し行ったため、予定より時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
I. ヒトDR5の局在決定に関与する分子の探索:ヒトゲノムワイドshRNAライブラリーモジュール#2を、TRAIL 低感受性のHeLa 細胞株に遺伝子移入して得られた、DR5タンパク質の細胞膜発現が有意に高い2個の細胞集団に加え、現在進行中のモジュール#1を移入して得られた細胞集団についても、DR5の細胞膜での発現の亢進をFACSで解析し、それらを比較する。その中から、DR5タンパク質の輸送に関わる遺伝子がノックダウンされている可能性が高いと考えられる細胞を増殖させて、各shRNAに1対1で対応するバーコードが組み込まれたDNA を抽出、次世代ハイスループットシーケンシングによる受託解析を依頼して、DR5の輸送に関与する標的分子候補を絞り込んだ上で、その同定へと進む。 II. ヒトDR5の局在の決定に関与する分子の発現と機能の相関の解析:様々なTRAIL感受性及び低感受性ヒト腫瘍細胞株において、I.で絞り込んだ候補分子または同定された分子の発現量とDR5の局在を調べ、DR5の核内移行との相関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
学会参加を控えたことと、実験の物品費が嵩んだため、学会参加費と旅費の余剰を物品費に回したが、年度末の残金が中途半端な額だったため、無理にこの範囲内で購入可能な試薬を購入するよりは、次年度に繰り越して、必要な物品類への購入に充てたいと考えた。
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