2021 Fiscal Year Research-status Report
EZH2過剰発現により誘導される新規異常複合体の解明
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19K07661
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新城 恵子 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (40641618)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | EZH2 / 複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンメチル化酵素EZH2 (enhancer of zeste homolog 2) はPRC2(ポリコーム複合体2)の構成タンパク質であり、多くのがんで発現が高いEZH2はがんにおいてPRC2以外のタンパク質と複合体を形成することも知られている。我々はEZH2が過剰発現している複数の腫瘍細胞において、EZH2はヒストン修飾酵素X(protein X)と複合体を形成していることを見出した。この新規EZH2複合体は通常の複合体とは異なる新たな機能を獲得し、悪性化に寄与している可能性がある。本共同研究では、新規複合体の機能解明を目指して実験を行った。 これまでに脳腫瘍 、乳がん、前立腺がん、肺がんなど複数のがん種の細胞株を用いて、この異常複合体が存在することを確認した。EZH2は核内に多く局在するが、EZH2-protein X異常複合体も核内で認めることが分かった。複合体の存在はProximity ligation assay(PLA)でも確認し、複合体を示すPLAのスポットはがん細胞で多い傾向があった。 長鎖非翻訳RNAはヒストン修飾タンパクをクロマチン上にリクルートすることが知られており、EZH2も複数のlncRNAに結合することが報告されている。EZH2-protein X異常複合体形成に長鎖非翻訳RNA が関与しているかを検討するため、細胞から得られたタンパク質を、RNaseAで処理したのち、免疫沈降を行った。RNaseA処理の有無で複合体の存在量は変わらず、タンパク質が直接結合している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数のがん細胞においてEZH2とprotein X が存在することを、ウエスタンブロットやPLA法で確認した。 今後EZH2とprotein X とを強制発現させた細胞でクロマチン免疫沈降を行い、この複合体による標的遺伝子部位を同定する予定である。強制発現系でのChIPが難しく、予想以上に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
EZH2とprotein X とを強制発現させた細胞でクロマチン免疫沈降を行うことで、新規複合体の標的遺伝子を同定する。これにより、複合体の腫瘍での機能を解明することができると考える。
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Causes of Carryover |
今年度に強制発現系でのChIPが難しくて、ChIP-seqまでできなかった。未使用額は次年度必要となる試薬代に充当する。
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