2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of personalized chemotherapy for hepatocellular carcinoma: Targeting TGF-b signaling
Project/Area Number |
19K07737
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
王 挺 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 特任講師 (70416171)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | TGF-β / Sorafenib / Regorafenib / Lenvatinib / 肝癌細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、分子標的薬による肝癌細胞の増殖に対する抑制作用、TGF-βの発現およびそのシグナルの関与、または肝癌細胞の浸潤誘導に対する影響を検討し、以前の研究で明らかにした5-FU の作用と比較した。結果:1. Sorafenibは10nM、Regorafenibは100nMから細胞増殖抑制作用を示した。これに対してLenvatinibは1μgまでは細胞増殖促進作用が示した。2. 5-FU による細胞内の TGF-βの発現促進効果に比べ、Sorafenibは著明なTGF-βの発現を促進し、RegorafenibおよびLenvatinibはTGF-βの発現に対する影響が認められなかった。3. Sorafenib、Regorafenib およびLenvatinibはともにTGF-βの細胞死に関連するシグナル分子SMAD2のリン酸化タンパクレベルおよびINK4bのタンパクレベルを上昇したが、Sorafenib は、TGF-βの細胞浸潤に関連するシグナル分子MAPK(ERK1/2) のリン酸化タンパクレベルを著明に促進し、E-cadherinのタンパクレベルを低下させた。RegorafenibおよびLenvatinibについては、上述分子の変化が認められなかった。4. SorafenibはTGF-βによる細胞の浸潤促進作用に対しさらに相乘効果を示した。一方、Regorafenibは、TGF-βの浸潤促進作用に対する影響を示さず、LenvatinibはTGF-βの浸潤促進作用を著明に抑制した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、分子標的薬による肝癌細胞の増殖への影響について濃度範囲を確認した上に、TGF-βの発現およびそのシグナルの関与、また、細胞への浸潤誘導作用に関する細胞実験行った。より詳細な作用機構が解明されれば、進行性肝癌に対する分子標的薬によるTGF-βをターゲットとした治療効果の比較および分子メカニズムの解明につながると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. TGF-βおよびVEGFによる細胞浸潤及び血管新生作用に対する分子標的薬の作用及び分子機構を検討する。血管内皮細胞および肝癌細胞株HepG2にSorafenib、RegorafenibおよびLenvatinibを添加し、TGF-β及びVEGFの発現をreal time PCR、TGF-βのシグナル分子(TGF-βRII, SMAD2/3, p15INK4b, ERK1/2,snail, E-cadherin); または、VEGF シグナル分子(VEGFR2, FAK, AKT)をWestern blot、蛍光染色などで解析する。さらに、上述細胞をTGF-βおよびVEGF添加し、分子標的薬による細胞浸潤及び血管新生の影響をAdhesion/migration assay、Wound healing assay 及びAngiogenesis assayで検討する。さらに、TGF-βおよびVEGFシグナル阻害剤を使い、上述のシグナル分子を分析し、TGF-βおよびVEGFのシグナルの間はcrosstalk の有無について検討する。2. ウイルス種が異なる背景を持つ肝癌に対する化学療法の選択性を明らかにする。 HBV、HCVとの関連がある肝癌細胞株HepG2、HuH7、または、それらに関係がない肝癌細胞株HuH6(Clone 5)は、HBV、HCV 及びNBNC肝癌の細胞モデルとして使用する。上述の細胞に分子標的薬を添加し、TGF-βの浸潤性及び細胞死誘導シグナルの分子への影響を実験1の方法で解析する。
|
Causes of Carryover |
今年度は、研究が予想通り進んでいた。実験条件は予想より早期に確認できたため、試行実験が減少し、次年度への繰り越しが生じた。次年度は、今年度の残額も含め、研究費を以下の研究に使用する。 1.TGF-βおよびVEGFによる細胞浸潤及び血管新生作用に対する分子標的薬の作用及び分子機構を検討する。2.ウイルス種が異なる背景を持つ肝癌に対する化学療法の選択性を明らかにする。
|
Research Products
(2 results)