2021 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌エクソソーム内在miR574-3Pを用いた腹膜播種の抑制
Project/Area Number |
19K07748
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
堀江 香代 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (30626825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 純 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (10201188)
下田 浩 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20274748)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | exosome / micro RNA / 卵巣癌 / 腹水 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の成果として、腹水エクソソームに内在する候補因子miR-574-3Pの解析を行うにあたり、培養細胞を用いた基礎検討を引き続き続き行ったが、miR-574-3Pの発現量が微量なため再現性に乏しく、有意な結果が得られなかった。さらに高感度DropletDigital PCR (ddPCR)を用いた条件検討でもmiR-574-3Pは十分に検出されず、条件決定に至らなかった。さらに、臨床材料は個人差や採取した時の状態などサンプルの条件がバラバラであることから微量なmiR-574-3Pの検出は困難であることが予想された。以上の結果を鑑み、新たな候補因子を解析する方向に方針を変更した。具体的には、培養細胞上清から検出したエクソソーム内在miRNAのマイクロアレイ解析結果を再度詳細に見直し、異なる組織型の卵巣癌細胞株で共通して発現の増加を認めたmiRNAとして28種に絞り込んだ。さらに、卵巣明細胞癌 Clear cell carcinoma of the ovary (CCCO)細胞株2種で高発現を示し、他の組織型では発現を示さなかったmiRNAを卵巣明細胞癌のマーカーとして検出した。これらの中から再度候補因子を絞りこみ、新たに臨床材料を用いて解析することとした。特に卵巣明細胞癌で特異的に発現の増加を示したmiRNAは近年日本で増加している卵巣明細胞癌の悪性モニタリングマーカーとしての有用性が示唆されるなど臨床への寄与が大きいことが考えられる。加えて、臨床材料として腹水だけでなく血漿についても倫理委員会の承認を得て解析が可能となった。このことから患者さんの血漿サンプルの結果は腫瘍マーカーとして、また腹水サンプルは疾患の予後や悪性度をモニタリングするマーカーとしての可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度の「卵巣癌患者腹水を用いたmiR574-3Pバイオマーカー及び予後・予知因子の解析」が終了しておらず、今年度も引き続き行っていたため「卵巣癌細胞株と腹膜を構成する中皮細胞株を対象としてmiR574-3P抑制エクソソームの影響を明らかにする」は遅れている。その理由として、現在までに予備実験として、培養細胞上清サンプルを用いたリアルタイムPCRによるmiR574-3Pの検出はなんとか可能であったが、再現性に乏しく腹水サンプルで十分な結果が得られるか不安が残る状態である。加えて、腹水中のmiRNAが微量な場合を想定し、高感度DropletDigital PCR (ddPCR) を用いた条件検討を行ったがmiR574-3Pの発現量が微量であったため、十分に検出されず条件を決定するまでに至っていない。さらに臨床材料である患者腹水はサンプル量が限られており、十分な検討を行うことが難しく、また個体差が大きく回収されるエクソソームの量や質にも大きなバラツキがみられるなど条件設定が難しいことが挙げられる。さらに新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、プラスチック製品などの消耗品や試薬等の納品が大幅に遅れ、実験に支障をきたした。
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Strategy for Future Research Activity |
今回新たに検出した候補miRNAについて、患者腹水や血漿サンプルを用いてRealtime PCRやDropletDigital PCR(ddPCR)を用いたmiRNA発現の定量化を行う。また、臨床病期や組織型、抗がん剤や化学療法の有無などの臨床情報を加味した検討を行う。以上の結果から候補miRNAが卵巣癌のバイオマーカーおよび予後・予知因子となる可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
【理由】腹水からのエクソソーム回収や内在miRNA解析の条件検討に時間がかかり、計画予定の「卵巣癌細胞株と腹膜を構成する中皮細胞株を対象としてmiR574-3P抑制エクソソームの影響を明らかにする」に着手できず、これらの実験を行うための試薬や細胞を購入したなかったため。 【使用計画】本年度の差額は今回新たに検出された候補因子についてのリアルタイムPCRやddPCRの解析に用いる。また計画予定である、中皮細胞や用の候補因子抑制エクソソーム作成のための試薬や消耗品を購入し実験を引き続き行う。
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Research Products
(1 results)