2019 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍細胞とキメラ抗原受容体T細胞のエネルギー代謝の相違に着目した次世代細胞治療
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19K07751
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
三輪 啓志 三重大学, 医学系研究科, 特任准教授(研究担当) (00209967)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CAR-T細胞 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内シグナルドメインが異なるCD19 CAR-T細胞(αβ、γδ)を作成し、エネルギー代謝様式を検討した。①抗原刺激により培養液中のグルコースの消費、乳酸の産生を経時的に測定。②蛍光標識グルコースあるいは蛍光標識脂肪酸の取り込みをフローサイトメーターにて測定。③抗原刺激時に解糖阻害薬、脂肪酸酸化阻害薬あるいはミトコンドリアでの酸化的リン酸化阻害薬を添加することによるγ-インターフェロン産生への影響を検討。④解糖阻害薬あるいは脂肪酸酸化阻害薬を添加培養後に標的細胞であるNALM-6細胞と共培養し細胞傷害活性を見た。(細胞傷害活性に重要なエネルギー代謝経路の推定) 上記の検討により、各細胞内ドメインにより特徴的な代謝様式が存在することが明らかになった。すなわち、細胞内シグナルドメインがCD28-CD3ζ(28z)の場合は解糖への依存度が高く、4-1BB- CD3ζ(4-1BBz)の場合は脂肪酸β酸化への依存が比較的強い。また、αβ-T細胞とγδ-T細胞においてもエネルギー代謝様式に違いがあることが明らかになった。解糖阻害薬や脂肪酸酸化阻害薬を添加した場合、γδ-T細胞はαβ-T細胞に比べ抗原刺激によるγ-インターフェロン産生への影響が小さい。すなわち、γδ-T細胞はエネルギー代謝的に不利な状況下でも抗腫瘍活性を発揮できる可能性があると推測できた。 今後、細胞内シグナルドメインの違い、細胞種(αβ-T細胞、γδ-T細胞)の違いと標的腫瘍細胞のエネルギー代謝を視野に入れた抗腫瘍活性の向上を目指していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に研究は進行しています。免疫不全マウスを用いた治療モデルでの検討も準備中です。
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Strategy for Future Research Activity |
標的細胞とCAR-T細胞の代謝様式の違いを利用した細胞治療が実現できるかという視点からin vitro、in vivoの研究を進めていきます。各種代謝阻害薬、グルコース不含培養液の使用などを活用していきます。免疫不全マウスを用いた治療モデルでの研究では、糖質制限食(高脂質食)による治療効果への影響も検討していきます。 現在、CD19 CARについて検討していますが、今後固形がんへの応用を視野にCEA CARについても検討する予定です。
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Causes of Carryover |
本年度は、in vitroでの研究が主体であったため、当初の予定より少なく済みました。しかしながら全体的に見れば進捗は計画通りです。次年度には、次年度使用額も併せてマウス実験を含めた研究をおこなっていきます。
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Research Products
(3 results)