2021 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍細胞とキメラ抗原受容体T細胞のエネルギー代謝の相違に着目した次世代細胞治療
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19K07751
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
三輪 啓志 三重大学, 医学系研究科, 産学官連携講座准教授 (00209967)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CAR-T細胞 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに細胞内シグナルドメインの異なるCAR‐T細胞(αβ、γδ)の代謝的特性を検討してきた。細胞内ドメインの違いにより、グルコース消費・乳酸産生が盛んな解糖優位なものとグルコース消費・乳酸産生が控えめでExtracellular Flux Analyzerにてミトコンドリア機能の指標となるspare respiratory capacity(SRC)が高いものがあることが明らかとなった。抗原刺激時に解糖阻害薬(2-deoxyglucose)あるいはミトコンドリアでの酸化的リン酸化阻害薬(oligomycin)を添加することによりγ-IFN産生への影響をみたところ、上記検討で解糖優位と考えられる細胞内ドメインを持つCAR-T細胞では解糖阻害によりγ-IFN産生抑制が強く見られ、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化優位と考えられる細胞内ドメインを持つCAR-T細胞ではoligomycinによりγ-IFN産生抑制が強く見られた。この検討でoligomycinあるいは脂肪酸β酸化阻害薬(etomoxir)添加時には濃度依存的にγ-IFN産生抑制が見られたが、2-deoxyglucoseについては低濃度ではγ-IFN産生が亢進することを見出した。この機序についてはペントースリン酸回路(PPP)の活性化によるNADPHの産生亢進→還元型グルタチオンの増加→CAR‐T細胞の疲弊阻止などが考えられるが、詳細については今後の検討を要する。この課題(代謝改変によるCAR-T細胞の機能向上)について令和4年度から新たな科研費を申請し認可されたところである。
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