2020 Fiscal Year Research-status Report
癌免疫微小環境における腫瘍特異的細胞傷害性T細胞誘導メカニズムの解明
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19K07754
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
望月 一弘 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30448633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 敦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40224894)
佐野 秀樹 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (20448632)
小林 正悟 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30566849)
高橋 信久 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30769485)
郷 勇人 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30443857)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん免疫微小環境 / 細胞傷害性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌に対する細胞免疫療法は既存の治療法とは作用機序が異なることから、がんに対する第四の治療法としてその地位を確立してきている。しかし、細胞免疫療法により抗腫瘍効果が発現されるメカニズムには未解明な部分も多く、顕著な臨床効果が得られるケースが報告されている一方で、より多くのケースでは腫瘍縮小効果が得られていない。以前から、癌細胞は生体内において自己の増殖に好都合な環境を周囲の支持細胞や腫瘍内に浸潤している免疫関連細胞と協調して作り上げていることが知られており、同局所環境は癌免疫微小環境(Tumor immune microenvironment:TIME)と呼ばれている。近年、TIMEは癌が生体内異物であるにも関わらず宿主内で増殖できるメカニズムの解明や、TIMEにおける様々な免疫現象をターゲットとした新規抗がん標的の開発という点でも非常に注目されてきている。 本研究では、これまでに我々が開発した悪性黒色腫(B16F1)担癌マウスに対する同種反応性活性化CD4陽性T細胞療法(体外培養にて活性化した同種CD4陽性T細胞を腫瘍内投与)により、宿主の抗腫瘍免疫が誘導される場合と、抗腫瘍免疫が誘導されない同系活性化CD4陽性T細胞療法を用いた場合を比較し、TIMEを構成している様々な免疫細胞をそれぞれフローサイトメーターを用いてソーティングした。その後、同細胞からTotal RNAを抽出した。同Total RNA中のmRNAからcDNAを合成し、RT-PCR法を用いて免疫反応関連の遺伝子発現解析を実施した。また、投与した同種/同系CD4陽性T細胞の腫瘍内でのmRNA発現をマイクロアレイ 法にて網羅的に測定した。現在、マイクロアレイ の結果を用いて、宿主の抗腫瘍免疫誘導に関連する遺伝子の抽出および差異を有する遺伝子群のネットワーク解析を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、抗腫瘍免疫療法後の腫瘍内から各免疫担当細胞を分離し、それらの中からドナーCD4陽性T細胞から抽出したRNAに対する網羅的なmRNA遺伝子発現解析を実施することができた為。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、mRNAマイクロアレイ の解析を進め、宿主の抗腫瘍免疫誘導に関連する遺伝子の抽出、および差異を有する遺伝子群のネットワーク解析を進める。同遺伝子発現解析の結果から、宿主の抗腫瘍免疫誘導に重要な因子を同定し、TIMEにおいて抗腫瘍免疫が誘導されるメカニズムの解明に繋げる。また、新たな抗がん創薬におけるターゲットとしての有用性を探索していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ流行に伴う実験制限により、当初予定していた動物実験が一部実施できなかったため、その分が次年度使用額となった。同予算を使用し、同実験を2021年度に実施する予定である。
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