2019 Fiscal Year Research-status Report
社会的選好に基づく意思決定への他者視点取得の影響:fMRI・rTMSによる検証
Project/Area Number |
19K07807
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小川 昭利 順天堂大学, 医学部, 助教 (30374565)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会的選好 / 意思決定 / 機能的磁気共鳴画像法 / 経頭蓋磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会的選好に基づく意思決定において、他者の視点取得が与える影響とその脳内メカニズムを明らかにすることを目的とする。そのため、社会的選好のひとつである不平等嫌悪をよく調べることのできる最後通牒ゲームを用いて、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)と繰り返し経頭蓋磁気刺激法(rTMS)を組み合わせた実験を行う。 本年度では、まず、fMRI-rTMS実験の予備実験にあたる行動実験とrTMS実験を実施した。課題は短縮版最後通牒ゲームであり、分配の提案者が2つの分配オプションから選択を行い、応答者がそれを受け入れるか拒否するかを決める。拒否すれば二者とも分配を受け取れない。被験者は応答者として参加した。先行して行った行動実験の結果に基づいて、試行数などの実験条件の調整を行った。とくに、表示内容と呈示時間、実験説明と内容理解の確認、などをブラッシュアップした。続いて行ったrTMS実験では、40 秒で600 回の刺激を行う連続シータバースト刺激(cTBS)を用いて、cTBSを行う場合と、行わない場合で、行動がどのように違うかを調べた。刺激の対象は他者の心的状態の推定に関わる右側頭頭頂接合部(RTPJ)とした。その結果、受入率はヒト条件の方がコンピュータ条件より低く、TMSあり条件の方がTMSなし条件よりも低かった。前者はこれまでの研究と一貫していた。後者は、RTPJ活動の抑制が意図推定を阻害し、それが受入率を低くすることを示唆した。一般化線形混合モデルでの解析の結果においても、ヒトとコンピュータに意図性の効果の差が見られた。これらの結果は、社会的選好に基づく意思決定の脳内メカニズムの一部としてRTPJが関わっていることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、まず、fMRIとrTMSを組み合わせた実験のための予備実験を行い、課題設定(試行時間・数など)と実験機器の設定などを確定することを予定していた。また、RTPJにrTMSを実施する実験(MRIなし)を行い、社会的選好にもとづく意思決定におけるRTPJの関与を明らかにすることを目指した。 rTMS実験では、cTBSをRTPJに実施し、cTBSを行う場合と行わない場合で、受入率に差があるかどうかを調べた。その結果、受入率はヒト条件の方がコンピュータ条件より低く、TMSあり条件の方がTMSなし条件よりも低かった。前者はこれまでの研究と一貫していた。後者は、RTPJ活動の抑制が意図推定を阻害し、それが受入率を低くすることを示唆した。一般化線形混合モデルでの解析の結果においても、ヒトとコンピュータに意図性の効果の差が見られた。これらの結果は、社会的選好に基づく意思決定の脳内メカニズムの一部としてRTPJが関わっていることを示唆する。 以上より、本研究課題は本年度に目指した内容をおおむね達成しており、順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果よりfMRI-rTMS実験の準備が整った。来年度はfMRI-rTMS実験を実施して、TMSありの場合とTMSなしの場合の行動データと脳活動データを取得する。行動データに関しては、記述統計的な解析のみならず、一般化線形混合モデルや計算論モデルを用いた高度な解析を実施する。fMRIデータに関しては、コンベンショナルなコントラストを用いた解析の他に、モデルベースの解析を行う。これは、行動データをモデルで解析した結果をパラメタとして脳活動の解析に用いる方法で、コントラストによる解析とは異なり定量的な結果を示すことができる。また、安静時の脳活動データを同時に取得して、課題遂行時と安静時での機能的結合を統合的に解析する。以上の解析結果をまとめて国内学会・国際学会の発表申込みを行う予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入が予定より少額だった。次年度使用額分は消耗品費として使用予定である。
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Research Products
(3 results)