2021 Fiscal Year Research-status Report
社会的選好に基づく意思決定への他者視点取得の影響:fMRI・rTMSによる検証
Project/Area Number |
19K07807
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小川 昭利 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30374565)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的選好 / 意思決定 / 機能的磁気共鳴画像法 / 経頭蓋磁気刺激法 / 機能的結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)と繰り返し経頭蓋磁気刺激法(rTMS)の実験を完了した。それぞれ20名ずつのデータを取得した。実験課題は短縮版最後通牒ゲームである。この課題では、分配の提案者が2つの分配オプションから選択を行い、応答者がそれを受諾するか拒否するかを決める。拒否すれば二者とも分配を受け取れない。被験者は応答者として参加した。脳活動の解析の結果、提案者の公平さへの関心に関わる脳活動が右側頭頭頂接合部(RTPJ)で観測された(これまでの予備実験で見られていたRTPJの活動とオーバーラップが確認できた)。本実験課題での公平性は、提案された分配オプションにおける自他差と、提案された分配オプションと選ばれなかった分配オプションとの差、の2つから評価できる。後者にフォーカスしていることが本研究の新規な点である。前者に関わる脳活動がRTPJの背側に見られたのに対して、後者に関わる脳活動はRTPJの腹側に見られた。TMS実験では、後者の脳活動を抑制する連続シータバースト刺激(cTBS)を実施した。腹側RTPJの活動ピーク位置へのrTMSが、最後通牒ゲームにおける被験者の行動を変化させることを一般化線形混合モデルによる行動解析の結果から明らかにした。すなわち、提案を受け入れるかどうかの判断において、提案された分配オプションと選ばれなかった分配オプションとの差を重視する程度が、腹側RTPJへのcTBSによる抑制によって減弱されることが示された。この結果は、腹側RTPJが他者がどれくらい公平さを重視するかという意図の推定に因果的に関わることを示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、社会的選好に基づく意思決定において、他者の意図が意思決定に与える影響とその脳内メカニズムをfMRI-rTMS実験により明らかにすることを目的としている。 本研究で予定していたfMRIとrTMSの実験の実施が新型コロナウィルス感染症の状況から遅れたため、実験は本年度内に完了したが、データ解析の時間が不足した。そのため、次年度(延長年度)の早い時期にデータ解析を完了させて、学会発表・論文投稿を行う予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染予防のために学会発表等の機会が著しく減ったため、旅費、学会参加費、英文校正費用を次年度(延長年度)に繰り越して使用する。 本研究で予定していたfMRIとrTMSの実験は年度内に完了したので、データ解析を完了させて結果をまとめ、学会発表・論文投稿を次年度(延長年度)の早い時期に行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染予防のために学会発表等の機会が著しく減ったため、旅費、学会参加費、英文校正費用を次年度(延長年度)に繰り越して使用する。
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Research Products
(8 results)