2019 Fiscal Year Research-status Report
有症状者の病態診断目的に行うスクリーニングCTのがん検診に関する効果
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19K07877
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
寺澤 晃彦 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30399597)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全身CT / 偶発所見 / がん検診 / 効果と害 |
Outline of Annual Research Achievements |
1次研究については藤田医科大学病院データベースから研究対象期間に救急外来を受診し、CTを撮影した外傷患者約500名を後ろ向きに特定し、診療記録に記載された病歴、身体所見、血液検査、画像検査(胸部レントゲン検査、超音波検査、CT検査等)等のデータから採用基準に該当する患者を特定中である。今後全身ルチーンCTで評価された採用患者について、偶然発見された非正常所見(偶発所見)数とその転機を解析、結果発表予定である。 全身ルチーンCTによるがん検診効果のシステマティックレビューについては外傷患者の全身CT研究を対象に詳細な研究計画を論文化し、現在投稿中である。また、本検査介入の効果(効果の第一段階である異常所見の検出感度向上)と害(検査に関連する副作用発現)に影響する重要な因子として造影剤使用の有無が追加項目として検討された。本因子に関連するパラメータ(造影剤副作用発現率等)についても独立にシステマティックレビューを開始している。がん検診効果の現在までの予備的な解析結果では、データベース検索で同定した14件の研究(15589名を対象)で外傷とは関連しない偶発所見が検討されていた。偶発所見の要約発見率は0.44(95%信頼区間0.36-0.53)であった。臨床的に早急な医療介入を要する所見を報告したものは7研究に限られ、その要約発見率は0.05(信頼区間0.02-0.10)、経過観察以上の医療介入を要する所見を報告したものは11研究に限られ、要約発見率は0.20(信頼区間0.08-0.35)であった。通常の診療をまず行い、必要部位のみにCTを絞った従来型介入群とルチーンで全身CTを全員に行った状況を比較した研究は1件に限られた。がん死亡抑制効果を直接検討した研究はなかった。本結果については今後検索期間のアップデートと追加解析による詳細な検討を加え、近く論文投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一次研究については選定したデータ抽出項目について抽出フォームを作成、パイロット抽出により操作性を確認、確定するのに時間を要した。また、偶発所見の定義を細分化、操作的基準としてまとめるまでに時間を要した。 検査介入の効果(効果の第一段階である異常所見の検出感度向上)と害(検査に関連する副作用発現)に影響する重要な因子である造影剤使用の有無が計画を洗練する段階で同定された。本因子に関連する短期的な臨床帰結(造影剤副作用発現率等)についても詳細な検討を追加することとしたため、この調整に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
一次研究については同施設内で複数名研究協力者を募り、データ抽出の効率化を進める。可能であれば、2020年度前半までに後方視的部分のデータベース構築を完了することを目標とする。 システマティックレビューについてはがん検診効果と造影剤副作用発現率のデータ統合を中心に並行して進め、2020年度中に論文化を完了予定とする。2019年度までに得られた結果から、既報データががんの発見率(病期データ含む)までにとどまることが高く予想される。本研究の究極の目的であるがん検診効果(死亡率抑制効果)に至るまでの中間アウトカムも段階的に想定し、各レベルに応じて統合可能なパラメータを基に、モデル研究で代替する方法も検討予定である。
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Causes of Carryover |
物品費については購入予定をしていたパーソナルコンピューターを実際に購入したが、納期が通常より遅延したため(2020年4月にようやく納入完了した)、予定していた金額は未使用での報告となった。旅費に関しては2019年度中に公表可能な研究成果が得られていないこと、COVID-19の感染流行状況も含め海外への情報集を目的とした出張を取りやめたことによる。こちらについては今後COVID-19の感染流行状況を吟味しながら、2020年の計画を修正する予定である。
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[Journal Article] Pharmacologic and non-pharmacologic interventions to prevent hypersensitivity reactions of non-ionic iodinated contrast media: a systematic review protocol2020
Author(s)
Umakoshi H, Nihashi T, Shimamoto H, Yamada T, Ishiguchi H, Takada A, Hirasawa N, Ishihara S, Takehara Y, Naganawa S, Davenport M, Terasawa T.
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Journal Title
BMJ Open
Volume: 10 (3)
Pages: e033023
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research