2019 Fiscal Year Research-status Report
LAMP法による中枢神経感染症Syndromic testing panel構築
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19K07878
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
井平 勝 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (10290165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東本 祐紀 藤田医科大学, 医療科学部, 助教 (20569701)
吉川 哲史 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80288472)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HSV-1 / HSV-2 / VZV / HHV-6 / LAMP / Syndromatic LAMP |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトに感染するヘルペスウイルスは、8種類が知られている。この中には、ヒトに脳炎・脳症などの中枢神経感染症を起こすヘルペスウイルスがいる。近年、複数病原体をあらかじめ設定、症候群別(呼吸器感染症、消化器感染症など)に検査を行い、検出することで早期投薬、投薬の適正化、入院期間短縮が可能となり医療経済的にも有用であることが報告されている。現在、病原微生物、ウイルス検出はReal-time PCRが中心である。我々は、簡便な遺伝子増幅法であるloop mediated isothermal amplification(LAMP)法によるヒトヘルペスウイルス感染症の迅速診断法の開発してきた。本研究では、髄液を対象としたLAMP法による中枢神経感染症パネルを構築、さらに栄研化学にて発売予定のシンプローバ(マイクロ流路チップ)、または独自のマイクロ流路を利用したLAMP増幅チップを検討することを目的とする。本年度は、ウイルス性中枢神経感染症を疑われ、髄液の解析依頼のあった225例(男性128例/女性97例)を対象とした。HSV-1、HSV-2、VZV、EBV、CMV、HHV-6、HHV-7に特異的なreal-time PCR法を行い髄液中のウイルスDNAを定量した。HSV-1:7検体、HSV-2:5検体、VZV:8検体、EBV:7検体、HHV-6:6検体で陽性となりCMVとHHV-7は検出されなかった。陽性例のDNAを用いた各ヘルペスウイルスLAMP法では、HSV-1で5/7、HSV-2で3/5、VZVで7/8、EBVで3/7、HHV-6で6/6の結果が一致した。定量結果との比較では、不一致検体はいずれもコピー数の少ない検体であった。HHV-6,VZVについては良好な結果が得られたがHSV-1、HSV-2、EBVでは熱変性利用による感度上昇またはPrimer再設計が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、脳炎、脳症を疑われた髄液を用いてヘルペスウイルスを対象としたLAMP法とreal-timePCR法による検出比較を行った。髄液からHHV-6、VZVが検出された検体についてはReal-time PCR法とLAMP法の結果はほぼ一致しており良好な結果が得られた。他のヒトヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2、EBV)は、低い髄液コピーでは、検出ができておらず感度の上昇が必要と考えられた。簡易的な感度の上昇については、熱変性による手法がよく用いられておいる。熱変性は、サンプルまたは、サンプル+Mixtureに96℃1分ほどの熱処理をくわえる。簡単であるが工程が増えることになるのは問題である。HHV-6、VZVについては、マイクロ流路によるLAMP反応の基礎検討について考慮する。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロを用いた栄研化学のシンプローバは、2019年に発売予定であったが2020年5月現在未発売である。本研究では、機器の購入またはマイクロチップに予算を計画していたため初年度は予定していた予算を次年度に持ち越した。マイクロ流路を用いたLAMP法については、豊橋技術科学大学柴田隆行教授らが開発したLAMP用マイクロチップについて共同研究を計画しておりシンプローバの未発売による計画変更の修正が可能であると考える。 マイクロ流路LAMP反応については、まずマイクロチップ内でもLAMP反応が生じるかを確認、その後、マイクロ流路を用いて濃度を決定したプラスミドを段階希釈、25μl反応による従来のLAMP反応とマイクロ流路によるLAMP法が同じ感度が持っているか検討する。
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Causes of Carryover |
マイクロ流路チップについては、発売時期が遅れたことから予算について不透明な部分が生じた。2019年度に発売予定のシンプローバ(マイクロ流路用LAMP測定機器)発売予定は、2020年度にずれ込むこととなり、そのための使用額は、次年度に送られるとになった。マイクロ流路については、豊橋科学技術大学の研究グループとの共同研究を検討中である。可能となれば今年度にマイクロ流路によるLAMP法の検討を開始する予定である。
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Research Products
(2 results)