2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of anti-RS virus by moatp, the Kampo medicine, and its active ingredients
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19K07881
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
鍋島 茂樹 福岡大学, 医学部, 教授 (50304796)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RSウイルス / 麻黄湯 / 表面プラズモン共鳴法 |
Outline of Annual Research Achievements |
RSウイルス(RSV)感染症は時に重篤化する小児呼吸器感染症であるが、有効な治療薬はまだない。一方、麻黄湯はインフルエンザなどの急性熱性感染症に使われている 漢方薬であるが、RSウイルス感染症に対する効果は不明である。そこで、麻黄湯の抗RSウイルス作用とそのメカニズムに関して検討した。2019年度は、麻黄湯を構成する麻黄と桂皮に抗RSV作用が認められ、それはウイルスの外被蛋白に麻黄湯の成分が結合して、細胞への感染を阻害する可能性まで解析することができた。2020年度は、実際にRSVのどういった部位に麻黄湯の成分が結合しているかを検討した。 【方法】RSVの外被タンパクのうち、細胞への接着に関与するGタンパクに注目した。表面プラズモン共鳴法(Biacore)にて、麻黄湯コウセイショウヤクのうち、麻黄と桂皮がGタンパクに強力に結合することがわかった。さらに、Gタンパクのうち、細胞の接着に重要なCentral conserved domain (CCD)のペプチドを作成し、麻黄湯が結合するかどうかを調べたところ、麻黄湯はCCDに結合することがわかった。さらに、CCDのうち、最もレセプターへの結合に重要なCX3Cモチーフのアミノ酸配列を変換したところ、麻黄湯の結合力は半減することがわかった。 【結論】麻黄湯は、RSV GタンパクのCCD、とくにCX3Cモチーフに結合することにより、レセプターへの接着を阻害していることがわかった。今後は、麻黄湯のどういった成分がG蛋白への結合に重要かを調べていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系が確立し、実験者の技術がほぼ習熟できていること。また、大きな失敗がなく進んでいることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、麻黄湯のどう言った成分がGタンパクの結合に重要か、さらにその成分の分子構造や、Gタンパクのどういった部位へ結合するかを調べる。さらに、もう一つの外被タンパクである、Fタンパクと麻黄湯の結合がおこるかについてしらべていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ蔓延にて、学会出張ができなかったため。次年度にその旅費分は繰り越す予定。
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