2021 Fiscal Year Research-status Report
硝子体疾患における眼内Tリンパ球6-color flow cytometry解析
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19K07942
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
稲葉 亨 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60203204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 健児 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (00457988)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 硝子体疾患 / 硝子体混濁 / 眼内Tリンパ球 / フローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度(2021年度)は18例(男性8例、女性10例)の硝子体混濁患者が硝子体手術を受けた。このうち6-color FCMを実施するのに十分な硝子体細胞(1アッセイあたりCD45陽性細胞≧100個)を分離し得たのは5名(男性2例、女性3例)のみであり、術前診断は悪性リンパ腫1例、サルコイドーシス2例、ウイルス性内眼炎1例、その他1例であった。 悪性リンパ腫症例では従来と異なり硝子体Tリンパ球CD4/CD8比>1.0であったが、従来同様memory T比率およびPD-1陽性CD8 T比率は高値、T reg比率低値であった。ウイルス性内眼炎では従来同様、硝子体Tリンパ球CD4/CD8比<1.0、Treg比率約20%と最も高値を示した。 サルコイドーシスでは硝子体Tリンパ球CD4/CD8比>3.5であり、memory T比率が高く、PD-1陽性CD8Tは悪性リンパ腫より低率(平均54.4%)、Treg.はウイルス性内眼炎より低率(平均9.7%)であった。 その他の1例はCD4/CD8比=1.1であったが、HTLV-1陽性でT-reg.約70%と極めて高率であった。 一方、眼内サイトカイン濃度に関しては、B細胞性リンパ腫(B-IOL)では硝子体内IL-10/IL-6比は平均50.9であり、IL-10/IL-6比≧1.0を基準とすると、B-IOLの診断における感度は77.1%で あった。従来報告されている感度より低く、FCMとの組み合わせで診断することで、診断精度が向 上するものと考えられた。FCM検査との多変量解析では、IL-10とCD4に正の相関、CD8に負の相関がみられたが、症例を増やして確認する必要がある。CD19あるいはCD20の比率とIL-10の濃度には相関は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度も新型コロナウイルス感染症流行による入院患者制限が長らく続いたため、硝子体混濁患者の手術件数が新型コロナウイルス感染症流行前の50%以下に減少したままである。疾患特性上、悪性リンパ腫は早急な確定診断・治療が必要なため、比較的手術件数も保たれているのに対し、非腫瘍性疾患、特にウイルス性内眼炎の手術適応例が激減した状態が持続している。 今後もこの状況が続く場合、ウイルス性眼内炎は当初目標症例数(20例)に至らない可能性が高いが、これまでのところ少数例であっても硝子体Tリンパ球でのCD4/CD8比やT reg.比率が特徴的所見を示す傾向はとらえられている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、硝子体混濁を来す3大基礎疾患のうちウイルス性内眼炎は当初の目標症例数(20例)に到達できない可能性が高いが、その特徴的なFCM所見はとらえられていると思われる。 一方、硝子体サイトカインに関しては、検体処理と測定方法の関係上、これまではIL-6およびIL-10のみを単独で測定してきたが、研究開始当初から凍結保存してきた硝子体検体が次年度には30-40検体に至ることが予想されるため、マルチプレックスを用いることにより多種類のサイトカイン濃度を測定予定である。 FCMに関しては、一部の抗体試薬を追加購入すれば、これまで通り研究を継続可能と思われる。
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Causes of Carryover |
解析し得た患者数が少ないため、これまでサイトカイン濃度については単独測定が可能なものしか十分に測定出来ていない。来年度はこれまでに凍結保存した検体を用いて、マルチプレックスにより多種類のサイトカイン濃度を測定予定である。
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Research Products
(2 results)