2023 Fiscal Year Annual Research Report
硝子体疾患における眼内Tリンパ球6-color flow cytometry解析
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19K07942
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
稲葉 亨 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60203204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 健児 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (00457988)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 硝子体疾患 / 硝子体混濁 / 眼内Tリンパ球 / フローサイトメトリー / 悪性リンパ腫 / 制御性Tリンパ球 / PD-1陽性細胞傷害性Tリンパ球 / 硝子体IL-10/IL-6比 |
Outline of Annual Research Achievements |
硝子体混濁の主要な原因疾患として硝子体網膜リンパ腫/眼内B細胞性悪性リンパ腫(B-PVRL/B-IOL)、ウイルス性内眼炎、サルコイドーシスが知られているが、病理組織検査が実施困難な場合も多く、しばしば診断に難渋する。一方、B-IOL/B-PVRLは中枢神経系病変を合併しやすく致命的となり得るため、迅速かつ適切な診断が必要である。 我々は以前に3-color flow cytometry (FCM)による硝子体内Tリンパ球CD4/CD8比が上記の主要3疾患のスクリーニングが有用であることを示したが、従来より多くの抗原を同時解析可能な6-color FCM機器が導入されたため、今回の研究では同機器によりこれら3疾患を中心に硝子体内Tリンパ球の細分画、特にCD4陽性制御性Tリンパ球(Treg)およびPD-1陽性CD8陽性Tリンパ球(PD-1+ Tc)を比較することで、これらの疾患をより確実にスクリーニング可能かを検討した。 研究期間中はCOVID19による診療制限が長期間続いたため、B-PVRL以外は解析可能症例が当初予定(各20例)の半分以下となってしまったが、B-PVRLは16例解析することが出来た。その結果、B--PVRLでは他の疾患に比べて、硝子体内Treg比が有意に低く、PD-1+Tc比率が有意に高いことが判明した。これらの指標は硝子体内IL10/IL6比と同様に、腫瘍細胞が硝子体内で明らかに増加する以前の段階から認めており、B-IOLの存在を病初期に示唆する有用な指標となることを示した。 今回の研究ではB-PVRLでTreg低値、PD-1+Tc高値となる機序は解明出来ていないが、後者はリンパ腫細胞の免疫学的逃避に関与している可能性が考えられ、今後はB-PVRLに対する免疫チェックポイント阻害剤の有用性を評価する意義があると考えられた。
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