2019 Fiscal Year Research-status Report
ATTR脳アミロイドアンギオパチーの自然史・病態解明と治療法開発のための基盤構築
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19K07959
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
関島 良樹 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60322715)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミロイドーシス / PiB-PET / 脳アミロイドアンギオパチー / トランスサイレチン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は遺伝性ATTRアミロイドーシス(家族性アミロイドポリニューロパチー)患者における中枢神経症状発現の詳細な情報収集・診療を行なった.また,脳へのアミロイド沈着を定量するためのPittsburgh compound-BをリガンドとしたPET検査(PiB-PET)を実施した. 情報収集した遺伝性ATTRアミロイドーシス患者は120名で,うち13名に脳アミロイドアンギオパチーに起因する中枢神経症状を認めた.肝移植を受けた患者は53名で,7名(全てV30M(p.V50M)変異)で中枢神経症状を認め,ATTRアミロイドーシス発症から中枢神経症状発症までの期間は平均17.1年であった. 3名の患者 (D18G (p.D38G)変異もしくはY69H(p.Y89H)変異を持つ患者) は,初発症状として中枢神経症状を呈していた.11名の患者は脳アミロイドアンギオパチーに起因するtransient focal neurological episodesを呈し,3名の患者が脳出血,1名の患者が認知症を呈していた.初発症状としてtransient focal neurological episodesを発症し,その後TFNEを繰り返した後に脳出血や認知症を呈する患者が多かった. PiB-PETは年度内に12名の患者に対して実施し,うち8名は3~5年のインターバルを置いた2回目の検査であった.脳内に関心領域を10カ所設定し,各領域におけるstandardized uptake value ratio (SUVR)を定量した.PiB-PETの評価で,脳へのアミロイド沈着は遺伝性ATTRアミロイドーシス発症からの期間が長いほど高度になることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したように,遺伝性ATTRアミロイドーシス患者における中枢神経症状発現の自然歴およびPiB-PETのデータが順調に蓄積されている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,PiB-PETの症例数を増やし,統計学的な解析を行う.また1人の患者に対して3年~5年のインターバルを空けてPiB-PETを実施する数を増やし,遺伝性ATTRアミロイドーシスにおける脳アミロイドアンギオパチーのバイオマーカーとして有用性を明らかにする.また,遺伝性ATTRアミロイドーシス患者における脳アミロイドアンギオパチーに対する抗てんかん薬の有効性を検証する.
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Causes of Carryover |
研究試薬等の消耗品代が当初見積額より安価であったことや,実際の使用数が少なかった為34246円を次年度使用とした. 次年度使用額は令和2年度請求額と併せて消耗品費として使用する予定である.
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