2020 Fiscal Year Research-status Report
膜障害に焦点を当てた高分子Aβオリゴマーの毒性機序に関する検討
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19K07965
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
小野 賢二郎 昭和大学, 医学部, 教授 (70377381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 まゆみ 昭和大学, 医学部, 教授 (40155544)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルツハイマー 病 / オリゴマー |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:Aβオリゴマーの細胞及びシナプス毒性、毒性機序(特に細胞膜障害)を明らかにする。 2020年度の研究実績 ①Aβサンプルの準備:サイズ排除クロマトグラフィーを用いて新鮮なAβ42溶液をインジェクトし、主にモノマーであるlow molecular weight peak(LMW)とHigh MW(HMW)オリゴマーであるPFを抽出した。 ②AβのLMW、PFの細胞内カルシウム調節の検討:SH-SY5Y 細胞を用いて細胞内Ca2+レベル動態をFLIPR Calcium 5 Assay Kitにて調べた結果、PFはLMWより脱分極誘発生Ca2+流入を促進した。この流入は、l‐type calcium channel antagonistであるニカルジピンやN‐methyl d‐aspartate (NMDA) receptor antagonistであるメマンチンを投与すると抑制された。このことからHMW Aβ42オリゴマーであるPFは、l‐type calcium channel やNMDA receptor を介してCa流入を引き起こすことが示唆された。 ③Aβ42のLMW、PFのシナプス毒性の検討:富山大学 西条博士らと協力してマウスの海馬スライスを用いて興奮性シナプス後電位(fEPSP)を記録し、long-term potentiation (LTP)を測定した結果、PFはLMWより有意にLTPを抑制し、シナプス毒性を有することを確認した。 ④Aβ42のLMW、PFによる受動的膜特性への影響の検討:SH-SY5Y 細胞に各凝集体を一定時間インキュベートし、パッチクランプ法による過分極および脱分極電流パルスに対する応答の膜抵抗、膜電位の変化を比較検討した結果、PFがLMWより有意に膜抵抗を減少させる一方で、静止膜電位を上昇させ、脱分極を引き起こすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
共同研究者との連携も順調であったため、Aβ凝集体の細胞内カルシウム調節、シナプス毒性、受動的膜特性への影響の検討が終了し、計画以上に進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画がほぼ順調に終了したため、今後はポリフェノール化合物などのPF毒性に対する保護効果を本研究で用いた実験系を用いて調べる。
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Causes of Carryover |
研究計画の立案段階、科学研究費申請段階ですでに研究に着手しており、本年度も共同研究者との連携が大変順調であったために費用を節約して実行することができた。生じた使用額の研究費は来年度の研究費に当てる予定である。
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