2020 Fiscal Year Research-status Report
嗜銀顆粒性認知症の随伴神経・精神症状と責任病巣に関する臨床神経病理学的研究
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19K07988
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
齊藤 祐子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (60344066)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精神症状 / 嗜顆粒性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はブレインバンクに貯蓄してある連続剖検例を用いて、脳幹における嗜銀顆粒の分布の評価を行った.具体的に、71症例について、延髄、橋、中脳の諸核において、抗リン酸化タウ免疫染色を用いて嗜銀顆粒の分布を半定量的に検索した. 結果として、最も早期から嗜銀顆粒を認めた部位は青斑核であり、検索可能であった68症例中66症例(97%)に陽性所見を認めた.青斑核に陽性所見を認めなかった2症例に関しては、その他の脳幹諸諸核にも陽性所見は認めなかった.青斑核に陽性所見を認めた症例のうち、次いで早期に嗜銀顆粒を認めた部位は上中心核(64症例中48症例(75%))で、嗜銀顆粒の密度は青斑核とほぼ同等あるいは少数であった.同じ縫線核群である不覚縫線核群では上中心核よりも頻度・密度共に軽度であった.中脳および延髄ではEdinger-Westphal核、黒質、迷走神経背側運動核に早期陽性所見より認められたが(各々52%、55%、50%)、多くの症例では上中心核に既に陽性所見が認められており、上中心核よりも早期に陽性所見を呈する症例は少数であった. これらの結果より、脳幹における嗜銀顆粒は青班核より出現し、上中心核へ進展していく可能性が示唆された.一部の症例においては中脳および延髄へ早期の進展を示す症例もあり、さらなる検索が必要と考えらえた. 今後の方針としては、(1)症例数を増やし、また基底核も検索部位に追加して嗜銀顆粒の分布について検討を行う、(2)既に検索されている既存のgrain stagingと脳幹病変との対比と行う、(3)生前うつ病やパーキンソニズムを認めた症例についての脳幹および基底核における嗜銀顆粒の分布について検索する、ことを予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ傾向はつかめてきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進行しているため、さらに研究計画通りに調査を進める。
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Causes of Carryover |
次年度にデータベースを保管するためのサーバを購入したいために、今年度予算を次年度に回すことにした。
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