2023 Fiscal Year Annual Research Report
Novel biomarker research for schizophrenia
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19K08024
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
野本 宗孝 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80457861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五嶋 良郎 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (00153750)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CRMP2 / リン酸化CRMP2 / 統合失調症 / バイオマーカー / 軸索ガイダンス分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回我々はヒトリンパ球中での分子の変化が統合失調症の生体指標として利用できるのではないかと考え、本研究を開始した.その標的分子としてこれまで横浜市立大学分子薬理神経生物学教室が機能解明に取り組んできたCRMP2(collapsin response mediator protein2)に着目した.CRMP2は軸索ガイダンス分子間のシグナリングに関わる分子であり、これまでの基礎医学研究を通じて統合失調症との関連が数多く報告されている分子である.我々はまずヒトリンパ球中のCRMP2とリン酸化したCRMP2の測定を可能にする系を確立した.さらにその測定系を使用して統合失調症患者群とコントロール群でのCRMP2とリン酸化CRMP2の発現を測定した.そしてその結果が統合失調症の診断や症状重症度を反映しているのか検討した. ヒトリンパ球中のCRMP2とリン酸化CRMP2のウェスタンブロッティングによる検出について検討したところ、可能であることが判明した.対象の統合失調症患者群とコントロール群におけるそれぞれの発現量を測定した結果、統合失調症群ではコントロール群と比較して、若年者においてCRMP2のリン酸化率が低く、高齢者ではその反対にコントロール群よりもCRMP2リン酸化率が高かった. 統合失調症群とコントロール群において、ヒトリンパ球中でのCRMP2リン酸化率に違いがあることを見出した.CRMP2のリン酸化は脳神経の可塑性と関連していることが知られており、疾患群と健常者群の違いは脳可塑性の違いを反映している可能性がある.本研究における結果はヒト生体検体におけるタンパク質レベルでの翻訳後修飾の変化を捉えた点で貴重であり、タンパク質の翻訳後修飾が統合失調症の発症機構に関わっている可能性を示唆している.
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