2019 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージとヒトiPSニューロン共培養系による統合失調症・ASD病態解析
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19K08025
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
鳥塚 通弘 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (20588529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳野 浩樹 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (10347560)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | hiPS細胞 / マクロファージ / 統合失調症 / ASD |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、健常者2名由来のiPS細胞を用いて細胞培養系の構築を図った。山中教授の研究室で作成され、頒布されいるiPS細胞株と、我々の研究室で作成したiPS細胞株である。 興奮性・抑制性ニューロンを90%以上の純度でそれぞれ分化誘導可能なベクターを使った方法で分化誘導し、誘導後4週、8週時点でのシナプス形成を免疫細胞染色法やqRT-PCR法で調べてみると、時間経過とともにシナプス関連遺伝子のmRNA発現量が増え、免疫細胞染色法でも同定できるシナプスの数が増加した。またMAP2陽性の樹状突起の発達も確認できた。分化誘導後2週目ではまだシナプス形成などが未熟で評価が難しい面があった。 次に、このヒトiPS細胞由来神経細胞と健常者由来マクロファージの共培養を試みた。マクロファージを炎症惹起型のM1と組織修復型のM2とにわけて培養する技術は既に確立されているため、これらタイプを分けたマクロファージを上記分化誘導した神経細胞の上に播種し、その生存や神経細胞に与える影響を調べた。健常者2名の協力を得てマクロファージを調製し、播種する時期や、細胞数を調整したところ、実際に、マクロファージの有無で、シナプスの数や細胞の突起の長さや形態が変化する所見が得られた。また、マクロファージの貪食能については、M1とM2でその能力に差があることが追試できた。 健常者検体を用いた実験系の確立がおおむねできたため、次は患者由来の検体でどのような所見が得られるかを調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度後半には、患者さんから検体を得て解析を開始する予定で合ったが、健常者検体を用いた培養系の条件設定に思ったよりも時間を要したため。また、COVID-19の影響で、研究のために患者さんに来院してもらって検体を採取することがはばかられる時期が続いたことも、なお一層の遅れにつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床指標の評価ができている、統合失調症、ASDの患者由来マクロファージを、健常者iPS細胞由来神経細胞と共培養することで起きる変化を、健常者由来マクロファージと比較検討する。まずは各群3-5名の検体を得て、比較する。その後は、来院日程などを考慮して、患者群の検体を増やし、暫時解析していく。
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