2020 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症児の母子関係強化に関する遺伝子多型解析と脳機能画像研究
Project/Area Number |
19K08047
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梶梅 あい子 広島大学, 病院(医), 助教 (00448250)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 親子関係強化 / 前頭部血流増加 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度、既に親子相互交流療法(PCIT)を開始していた2ケースは、コロナ禍の影響でインターネットを用いた親子相互交流療法(I-PCIT)に変更し継続した。オンラインミーティングツール(Zoom)を用いて大学と家庭とを結び、ヘッドセットを介して母親への指示を行った。I-PCITにすることで、育児の現場である家庭でのペアレントトレーニングが可能となり、日常生活に汎化しやすいという点で非常に有意義であった。2ケースともPCIT研修センター(東京都)のトレーナーによるテレビ会議を用いたスーパーヴィジョンを受けながら行った。経過は順調で、ECBI(アイバーグ子どもの行動評価尺度)の点数は順調に下がり、無事プロトコールをすべて終了することができた。PCIT導入後3ヶ月での脳血流測定では、児の遊ぶ様子の動画を観察する際の母親の前頭部血流は増加の傾向を認めた。脳血流測定の際に、神経伝達物質の遺伝子多型解析を目的として、母親の頬粘膜採取を行った。検体を処理してDNAの抽出まで行い、冷凍保存している。検体数がある程度貯まってから、セロトニン受容体遺伝子多型、オキシトシン受容体遺伝子多型について解析を進める。 また、さらに新規2ケースについてもPCITを開始した。子どもの発達評価は新版K式発達検査を用いて行った。それぞれの子どもが遊ぶ様子の動画を撮影し、刺激課題の作成を行った。PCIT導入までに3ヶ月の間隔で2回の脳血流測定を行ったが、それらの間に特に変化の傾向は認めなかった。現在PCITを開始し、2ケースとも順調に進んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度前半、コロナ禍の影響で来院を控える傾向があり、新規ケースの開始に遅れが出たため。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きPCITの実施と新規ケースの募集を行う。コロナ禍の影響により来院が難しくなれば、I-PCITに変更して継続する。遺伝子多型解析について、検体が一定数貯まれば、セロトニン受容体遺伝子多型、オキシトシン受容体遺伝子多型について解析を進める。
|
Causes of Carryover |
遺伝子多型の解析について、検体が数例集まってから解析を行うこととしたため、この費用を令和3年度に使用する。 予定していた学会出張が、COVID19流行に伴いWeb開催となり、旅費の使用がなかった。令和3年度には学会発表を行う予定であり、COVID19流行が収束し各学会が開催されれば、令和3年度にこの旅費を使用する。
|