2021 Fiscal Year Annual Research Report
自閉スペクトラム症児の母子関係強化に関する遺伝子多型解析と脳機能画像研究
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19K08047
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梶梅 あい子 広島大学, 病院(医), 助教 (00448250)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 親子相互交流療法 / 近赤外分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
PCIT(Parent-Child Interaction Therapy;親子相互交流療法)に客観的な生物学的指標を裏付けることを目的とし,PCITの実施前後における保護者の前頭葉機能の変化について,NIRS(Near-infrared spectroscopy;近赤外分光法)を用いて検討を行った。 計測には浜松ホトニクス社製NIRO-200NXを用い,国際10-20法におけるFp1,Fp2の部分を測定領域とした。PCITが開始される前と,PCIT実施後養育スキルが基準に達した後において,保護者が刺激課題を観察している際の前頭葉血流変化を測定した。解析対象は酸素化ヘモグロビン変化量とした。PCITの実施は「PCITプロトコル2011年版」に従い,PCIT実施による子どもの行動の変化は,アイバーグ子どもの行動評価尺度( Eyberg Child Behavior Inventory : ECBI)を用いて評価した。 参加した4例について,子どもの診断は全て自閉スペクトラム症であり,保護者は全て母親であった。子どものPCIT実施による保護者の養育スキルは,全例において改善した。PCIT実施前後での前頭葉脳血流反応は,4例ともPCIT実施前よりもPCIT実施後に増加する傾向を認めた。子どもの行動評価については,全例ともECBI点数が減少していた。神経伝達物質遺伝子多型についても解析しているが、件数が少ないためデータ収集を継続することとした。 PCIT実施後に確認された脳血流反応の増加は,子どもの様子に対する保護者の反応性の向上を示していると考えられた。PCITは親子の関係性に変化をもたらすと同時に,保護者の脳活動も変化させ,育児困難感に伴ううつ状態の改善につながっているとも考えられる。今後はさらにケースを増やし,有意差の検証や関連因子の検討を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)