2020 Fiscal Year Research-status Report
化学放射線耐性を生む食道癌ゲノム・免疫応答のクローン進化の解明
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19K08123
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
平田 秀成 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (90721267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井田 厚司 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00772493)
吉武 忠正 九州大学, 大学病院, 講師 (40452750)
松本 圭司 九州大学, 医学研究院, 助教 (40467907)
浅井 佳央里 九州大学, 大学病院, 助教 (40635471)
鶴丸 大介 九州大学, 大学病院, 助教講師 (90419565)
西牟田 雄祐 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 消化器・内視鏡科医師 (10635220)
塩山 善之 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10323304)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 化学放射線療法 / クローン進化 / 遺伝子変異 / 免疫ゲノミクス / 食道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道癌に対する化学放射線治療(CRT)は高頻度に再発し、耐性メカニズムの解明は喫緊の課題である。再発のドライバーとなる耐性クローンを捉えるため、特に治療耐性機構に関与すると想定される食道癌ゲノム異常の時空間的な不均一性と腫瘍免疫応答に着目し、検討する。 ①食道癌ゲノムと②腫瘍免疫応答の腫瘍内多様性の変遷(CRT前~再発)を次世代シーケンサーで評価し、両者を統合解析する。ゲノム変異・免疫微小環境の相互作用を時空間で解析し、CRT後に遺残した耐性クローンが再増殖・再発に至る「クローン進化」の様相を明らかにする。 現時点で原発巣ならびに局所再発病変を経時的に複数サンプリングし、各検体における全エキソンシークエンス)を実施した。ペアの正常組織として、食道正常粘膜は一見正常でもゲノム変異を蓄積していることが報告されているため、各症例の末梢血を採取し、DNAを抽出した。全エキソンシークエンスのベイトはアジレント社のSureSelect V5 + Regulatoryを用い、マッピングを行い、遺伝子変異の同定を行った。ゲノム変異の検出ならび各症例のHLAタイピングを行い、変異のうち抗原提示される腫瘍特異的変異抗原(ネオアンチゲン)を推定した。CRT後局所再発食道癌組織において、治療前から遺残したゲノム変異や放射線(X線)や化学療法に伴う医原性変異を同定した。今後このような変異がいかに腫瘍免疫に影響を及ぼすかネオアンチゲンに着目した解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療耐性クローンが有するゲノム異常およびネオアンチゲンを捉えるために、食道癌原発巣および化学放射線治療後の局所再発病変の経時的なサンプリングを実施した。特に治療耐性機構に関与すると想定される遺伝子異常の腫瘍内不均一性に着目し、検討している。現在までに化学放射線治療を完遂し、局所再発を来した症例の腫瘍組織を複数サンプリングした。各検体よりDNA・RNAの抽出、全エキソンシークエンスとRNAシークエンスを実施した。ゲノム異常の同定を終え、再発に至るゲノム進化の様相について、論文投稿中である。今後HLAタイピング、抗原提示されるネオアンチゲンを推定する予定である。以上より研究計画はおおむね順調に進展していると自己点検による評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
治療後再発食道癌ゲノムの不均一性について学術誌で報告を行い、さらに腫瘍免疫応答を統合解析する。RNAシークエンスを行い、ゲノム変異のうち抗原提示されるネオアンチゲンの発現量を評価する。化学放射線治療後に遺残または新たに獲得されるゲノム変異・ネオアンチゲンを検討し、治療抵抗性との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
追加実験や英文校正・論文掲載料で使用予定です。
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