2019 Fiscal Year Research-status Report
新生児呼吸窮迫症候群の新たな成因同定と発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K08261
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鈴木 光幸 順天堂大学, 医学部, 助教 (90449059)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原田 賢一 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 客員准教授 (40455366)
中野 聡 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70826453)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 肺サーファクタント / 胆汁酸 / オキシステロール / 呼吸窮迫症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
27-Hydroxylase(CYP27A1)は胆汁酸合成に関わる酵素で、その欠損症ではケノデオキシコール酸やオキシステロールの一種である27-Hydroxycholesterol(27-HC)の合成障害が生じ、コレスタノールや胆汁アルコールの過剰産生が起こる。Cyp27a1 -/- 妊娠マウスから出生した仔体は、ジェノタイプに関わらず多呼吸や陥没呼吸などの新生児呼吸窮迫症候群に類似した症状を呈していた。仔体の生後24時間生存率はCyp27a1 -/- 35%、Cyp27a1 +/- 70%であった。 まず濾紙血を用いて胆汁酸分析を行った。Cyp27a1 +/-母体から出生したCyp27a1 -/-仔体とCyp27a1 -/-母体から出生したCyp27a1 -/-仔体では、血中胆汁酸は低値であるのに対し、Cyp27a1 +/-仔体では高値を示した。これは肝での胆汁酸生合成能を反映した結果と推測された。 次に肺組織を採取し、病理・免疫組織学的検討、タンパク質をWBで解析した。Cyp27a1 -/- 妊娠マウスから生まれた仔体では、病理学的に肺胞の形成不全が確認された。免疫組織化学染色およびWBではⅠ型肺胞細胞マーカーのaquaporin 5、Ⅱ型細胞マーカーのpro-surfactant protein Cシグナルの低下を確認した。 血中胆汁酸値は仔体のジェノタイプに一致していることから肺形成不全発症のメカニズムとして、経胎盤的なオキシステロールの供給不足、あるいは何らかの代謝産物の過給供が肺胞構成細胞の分化・成熟遅延に影響を及ぼしていると推測された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
立案した実験計画に基づき呼吸窮迫症候群の症状が肺サーファクタント欠乏および肺胞構成細胞の分化・成熟の影響を受けていることが実験的に証明できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
血中胆汁酸分析に続き、LC/MSMSを用いて血中オキシステロール分析を行う。また全肺を利用したsingle cell RNA解析を行い、肺胞構成成分の相違および遺伝子発現について検討し、分子生物学的に肺胞構成細胞の分化・成熟に及ぼす影響を検討する。
|
Causes of Carryover |
購入を予定していた二次抗体について、汎用性のある保存試薬を利用したため購入費用が削減できた。来年度以降に予定しているsingle cell RNA解析費用は高額であることが予想されるため次年度使用額での補填を予定している。
|