2019 Fiscal Year Research-status Report
Identification of allo-specific antibody responsible for the pathogenesis of neonatal hemochromatosis
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19K08339
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷内江 昭宏 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (40210281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東馬 智子 金沢大学, 附属病院, 助教 (00377392)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新生児ヘモクロマトーシス / アロ抗原 / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児ヘモクロマトーシスは胎児期に発症、出生直後から高度の肝機能不全、全身臓器の鉄沈着を伴う、致死的疾患である。出生時にはすでに病態が完成していることが多く、唯一、肝移植が救命的治療の可能性を持っている。 一方、この疾患の発症については、いくつかの特異的な現象が知られている。すなわち、1)同一の女性(母体)に多発すること、2)第二子以降に多いこと、3)患児以降の出生では高率に発症すること、4)父親の異なるペアからも出生すること、などである。特に3)に関して、最新の報告では第一子が新生児ヘモクロマトーシスであった場合、第二子の97%に同病が発症、その内91%は致命的な経過をたどっている。これらの事実から、この疾患がRh不適合妊娠と同様、胎児肝組織に特異的に発現するアロ抗原に対して感作された母体側抗体が胎盤を通して胎児に移行、胎児肝組織を破壊する「gestational alloimmune liver disease; GALD」であることが強く示唆されている。しかし、責任抗原はまだ同定されておらず、胎児期肝傷害の発症機序の詳細は不明である。 本研究ではまず、胎児治療を施行した母体より得られた血清試料を材料として、高率で存在することが予想されるNH関連アロ抗原の同定を試みている。アロ抗原の同定には、これまでに使われることのなかった革新的な探索ツールである、プロテインアクティブアレイを用いた。 これまで、新生児ヘモクロマトーシス の発症病態に関与する可能性があるアロ抗原候補の絞り込みを行った。候補となった抗原について、抗体検出のための ELISA 系を構築し、現在患者母体、対照妊婦、正常対照について血清中特異抗体を定量開始している。候補蛋白の内、患者母体に特異的に高力価で確認される自己抗体を最終的な候補として絞り込む作業が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的としていた候補アロ抗原の抽出に成功している。順調な経過であり、次年度の研究の方向性も決まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、血清中アロ抗体定量のためのELISA 系を確立して特異抗体の病態との関連を検討できる段階となっている。
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Causes of Carryover |
当初出席して成果を発表する予定であった学会が延期となったため、次年度開催予定に合わせて助成金を使用する予定。
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