2020 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞死により誘導される癌幹細胞化と癌悪性化のメカニズム
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19K08425
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
近藤 正晃 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (60511615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 愼 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40415956)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肝臓癌 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国では肝癌によって毎年約3.5万人が死亡しており、肝炎ウイルス対策などの一次予防の確立や癌治療法の進歩によってその死亡者数はやっと減少に転じた。しかしながら、ウイルス駆除後の発癌症例も近年多くみられ、さらに難治進行癌に対する治療法はいまだ確立せずに予後は悪い。癌組織では抗癌剤の治療によってばかりではなく、局所の低酸素やストレス反応などによって、病理学的に多くの細胞死が観察される。本研究では、細胞死を介した癌化・進展についてのメカニズムの解明を目的に、抗癌剤、分子標的薬等によって起こる細胞死、腫瘍中心部などでよくみられる血流障害による細胞死などによって、残存する癌細胞が幹細胞化または分化転換を介して悪性化の方向に転換するという仮説のもと、以下の実験を行っている。 いくつかの肝細胞癌細胞株(HepG2, Hep3B, Huh7)を用いて、5-FU, Lenvatinib, および熱刺激を用いて、さまざまな細胞死を起こさせ、その抽出液を準備した。既知の癌幹細胞マーカーであるCD44およびE-cadherinをマーカーに癌幹細胞化をモニターした。その結果、5-FUにより処理した抽出液をHep3Bに投与すると、CD44の軽度の増加が観察された。In vivoの解析のため、マウス移植モデルを用いた腫瘍化能にて行ったが、腫瘍増殖については変化がなかった。一方で、In vivoにおいて5-FUを投与すると、残存した腫瘍はCD44の一過性の増加を認めた。残存した細胞はその後、再増殖を開始したが、その時点ではCD44の発現は低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivoにおける解析のタイミングに時間を要したため。次年度は計画通り進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoの検討をマウス移植モデルを用いた腫瘍化能にてさらに解析を行う。癌幹細胞マーカーレポーターを組み込んだ癌細胞を皮下または同所移植し、腫瘍を作成する。次に細胞死を惹起させた刺激、抗癌剤・分子標的薬投与や放射線照射をマウスに施し、癌細胞死を誘発する。肝癌同所移植モデルにLenvatinibを投与し、効果判定後に、薬物投与を中止し、再増殖させた腫瘍の幹細胞化の検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究に遅延が生じているため。次年度は研究の遂行に問題はなく、予算通りに使用予定である。
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