2021 Fiscal Year Annual Research Report
表在性非乳頭部十二指腸腫瘍の発癌機構の解明と、進展を予測する内視鏡診断体系の確立
Project/Area Number |
19K08463
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
澤田 武 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (60345626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八尾 隆史 順天堂大学, 医学部, 教授 (20243933)
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20381254)
佐々木 泰史 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70322328)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 十二指腸腫瘍 / 十二指腸腺腫 / 小腸癌 / 遺伝子変異 / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
非乳頭部十二指腸腺腫・早期癌 107病変を対象とし、これらの病変を、形質発現によって小腸型腫瘍100病変と胃型腫瘍7病変に分類した。さらに小腸型腫瘍を小腸型腺腫、小腸型粘膜内癌に、胃型腫瘍を幽門腺腺腫、胃型粘膜内癌に細分類した。DNA抽出後、全107病変についてバイサルファイト・パイロシーケンス法を用いて、ゲノムワイドなメチル化であるCpG island methylator phenotype(CIMP)の検討を行った。また、十二指腸腺腫や小腸進行癌において変異が報告されている遺伝子を含む、75の候補遺伝子を探索するカスタムパネルを作成し、102病変についてターゲットシーケンスによる遺伝子変異解析と、コピー数変化の解析を行った。さらに、β-カテニンの核内蓄積の有無について、免疫組織化学で検討を行った。 結果、小腸型腫瘍と胃型腫瘍には臨床病理学的、分子学的に明らかな違いがあり、非乳頭部十二指腸癌には少なくとも2つの発癌経路が存在することが示唆された。CIMPは腺腫と比較して粘膜内癌において高頻度であった。遺伝子変異はAPCに最も多く(55%)、次いでKRAS(13%)、LRP1B(10%)、GNAS(8%)、ERBB3(7%)、RNF43(6%)の順に高頻度であった。KRAS遺伝子変異は腺腫と比較して粘膜内癌で高頻度であった。β-カテニンの核内集積は85%に、またWNTシグナル経路関連遺伝子変異は59%にみられ、腺腫形成におけるWNTシグナル経路の重要性が示された。さらに、従来の小腸進行癌で報告された変異頻度(11-27%)よりも、腺腫・粘膜内癌におけるAPC遺伝子変異が高頻度であったことより、十二指腸の発癌において多段階発癌(adenoma-carcinoma sequence)の関与は限定的であることが示唆された。
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