2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K08481
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
光山 慶一 久留米大学, 医学部, 教授 (20200066)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 博 久留米大学, 医学部, 助教 (20529565)
吉岡 慎一郎 久留米大学, 医学部, 助教 (90425190)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ACP35 / TCP353 / クローン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのACP353対応抗原の探索の結果から、ACP353のメインエピトープがC末5アミノ酸残基(GLFPN)であることを特定していた。しかしながら、5アミノ酸残基は短すぎるため、ホモロジー検索でのヒット数が多く、すべての候補をペプチド合成して抗原探索することは費用的にも労力的にも現実的ではなかった。そこで、生物種をヒト、大腸菌、抗酸菌aviumに絞ってTCP353配列でホモロジー検索し、その中から重複を排除して9つの配列を選び、これらがクローン病患者プールIgGと反応することまで検討していた。今回の検討で、これら配列について、クローン病患者群(n=63)および潰瘍性大腸炎患者群(n=30)との反応性について評価した。オリジナルのTCP353よりも、クローン病検体との反応性が良好なペプチド配列を三つ(No.125,180, 182)見つけた。これらの結果はIgG抗体測定ELISAで確認された現象のため、次にIgA型についても同じ現象が起きているのか確認することにした。そしてオリジナルのTCP353よりも、IgG抗体およびIgA抗体ともに、クローン病検体との反応性が良好な配列を三つ(No.125, 180, 182)見い出した。反応性が良好な3つのペプチドの共通点はN末端がCysであることである。すなわち、CXXGLFPNであるとTCP353よりも反応性が向上することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オリジナルのTCP353よりも、クローン病患者検体と強く反応する配列が複数見つかり、これらの配列上の特徴はCXXGLFPNであった。つまり、抗原ペプチドのN末端をCysとすることで、ACP353の反応性を向上させることができる。これらの配列は、ヒト、共生細菌(口腔内、腸内)、消化管寄生虫のタンパク質に由来することから、ACP353は腸管免疫に関係する何らかの現象を反映した抗体なのかもしれない。しかしながら、飛びぬけて反応性の良い配列は見つかっていないため、いずれもACP353の真の対応抗原ではなく、単に交差反応性を有しているだけの可能性は残る。つまり、まだ対応抗原の同定には至っていない。文献Emerging concepts in non-invasive monitoring or Crohn‘s disease を参考にして、IBDに関係ありそうな下記の生物種にてCXXGLFPN配列をBLASTpしたが、候補配列はノーヒットであった。オリジナルのTCP353よりもクローン病患者検体と強く反応する配列が複数見つかったのは収穫であったが、ACP353の対応抗原をズバリ同定するには至っていない。クローン病では、自己抗原だけでなく、腸内の共生細菌や真菌の抗原、および食物抗原に対する免疫寛容が破綻していると言われている。したがって、ヒト以外の生物種由来のタンパク質がACP353の対応抗原かもしれなく、その場合、まだデータベースに登録されていない可能性もありうる。
|
Strategy for Future Research Activity |
オリジナルのTCP353よりもクローン病患者検体と強く反応する配列が複数見つかったのは収穫であったが、ACP353の対応抗原をズバリ同定するには至っていない。クローン病では、自己抗原だけでなく、腸内の共生細菌や真菌の抗原、および食物抗原に対する免疫寛容が破綻していると言われている。したがって、ヒト以外の生物種由来のタンパク質がACP353の対応抗原かもしれなく、その場合、まだデータベースに登録されていない可能性もありうる。以上から、依然として、対応抗原の同定はかなり難易度の高い作業と考えられる。 今回の検討で、クローン病患者血清が強く反応するCXXGLFPN配列は、ヒト、共生細菌、寄生虫由来のタンパク質中に存在することが分かった。また、上記の配列の中で飛びぬけて反応性の良いものはないため、いずれもACP353の真の対応抗原ではなく、単に交差反応性を有しているだけの可能性は残る。これまでに得られている結果はACP353と腸管免疫との関係を示唆しているようにも考えられる。ACP353とAIECとの関連が証明できれば、ACP353を、将来出てくるであろうAIECを標的とした治療を選択するための診断薬にできるかもしれない
|
Causes of Carryover |
オリジナルのTCP353よりもクローン病患者検体と強く反応する配列が複数見つかったのは収穫であったが、ACP353の対応抗原をズバリ同定するには至っていない。クローン病では、自己抗原だけでなく、腸内の共生細菌や真菌の抗原、および食物抗原に対する免疫寛容が破綻していると言われており、ヒト以外の生物種由来のタンパク質がACP353の対応抗原かもしれず、その場合、まだデータベースに登録されていない可能性もありうる。以上から、依然として、対応抗原の同定はかなり難易度の高い作業と考えられ、予想以上に時間を費やした。
|
-
[Journal Article] Antibodies to Crohn's Disease Peptide 353 as a Diagnostic Marker for Pediatric Crohn's Disease: A Prospective Multicenter Study in Japan2020
Author(s)
Mizuochi T, Arai K, Kudo T, Nambu R, Tajiri H, Aomatsu T, Abe N, Kakiuchi T, Hashimoto K, Sogo T, Takahashi M, Etani Y, Takaki Y, Konishi KI, Ishihara J, Obara H, Kakuma T, Kurei S, Yamashita Y, Mitsuyama K.
-
Journal Title
Journal of Gastroenterology
Volume: 55
Pages: 515-522
DOI
Peer Reviewed