2020 Fiscal Year Research-status Report
Medical Economics in Transcatheter Aortic Valve Implantation
Project/Area Number |
19K08513
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
徳田 順之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (30467302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
碓氷 章彦 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30283443)
伊藤 英樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50732707)
藤本 和朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70644665) [Withdrawn]
田中 哲人 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70725829)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医療経済 / Fraitly / 経カテーテル大動脈弁置換 / 費用対効果 / EQ-5D / 心臓大血管手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈弁狭窄症(AS)に対する経カテーテル的大動脈弁置換(TAVI)の医療経済視点からの介入限界を明らするためステップを構築した。QALY(Quality-adjusted life year) (生活の質指標である効用値と生存年数の積分値である)の曲線算出が必要となる。1QALYを得るのに必要な医療費および関連コスト(の増)がICER(Incremental cost-effectiveness ratio=増分費用効果比)である。 1.正確なQALY曲線を得るため、情報収集記録手段を確立した。データサーバーの構築をIRB了承を得て行った。セキュリティーの十分確保されたサーバーは稼動し外科手術情報データベースとしても日常使用している。2.QALY把握に術前のFrailty+ADL 評価方法を確立し記録した。理学療法士による周術期リハビリテーション時に継続的評価を行った(項目=MMSE EQ-5D,握力 Katz ADL) 3.さらに質問紙でも効用値が算出できるように情報収集系を確立した。具体的にはEQ-5D質問回答を効用値に変換する変換プログラムを作成した。効用値はQALY曲線の縦軸でありEQ-5D質問紙でこれが直ちに得られる体系を構築したことは費用対効果解析の上では意義深い。4.術前、周術期、術後退院前の作業療法士による評価に加えて予後調査とともににEQ-5D質問紙送付を行い経時的な効用値の追跡、予後追跡を行った。 TAVI後の生存曲線2年生存82.9% 2年MACE free生存77.8%であり、前述のMACE freeを達成した例の効用値下行は顕著でなかった。Historical cohortでの自然予後との比較で一連のAS治療による良好なaverage QALY gainを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で得られた知見の概要を記する。TAVI後の生存曲線2年生存82.9% 2年MACE free生存77.8%であり、前述のMACE freeを達成した例の効用値下行は顕著でなかった。Historical cohortの自然予後との比較で一連のAS治療による良好なaverage QALY gainを確認した。曲線がまだ継続しており数値を提示しきれないが>2QALYは確実と考えられる。対する社会コストは保険請求点数のTAVI入院費用550万円+その後の各種医療費+社会コストである。TAVIはコストも大きいが獲得QALYも大きい。なお、ICER算出上の対照アームの薬物治療単体でも160万円以上は必要と見込まれた。 ICER閾値(社会が1QALYを得るのに支出しうるコスト)をどこに置くかは議論があるが、WHOの基準等を参考にすると日本の場合1人あたりのGDP比約1.2倍の500万円と考えられる。この基準に基づけば、当施設で実施しているTAVIは医療経済上の効果は良好といえる。 重症ASの高齢者に対して、現在の国内一般基準に基づくTAVI治療(いわゆるintermediate-high risk candidateに対する治療)は医学的および医療経済的に妥当な範囲にある。TAVIはコストも大きいが獲得QALYも大きい。 ここまでが明らかとなり順調な進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
ICER閾値(社会が1QALYを得るのに支出しうるコスト)をどこに置くかは議論があるが、WHOの基準等を参考に日本の場合1人あたりのGDP比約1.2倍の500万円と考えられる。この基準に基づけば、当施設で実施しているTAVIは医療経済上の効果は良好といえる。 重症ASの高齢者に対して、現在の国内一般基準に基づくTAVI治療(いわゆるintermediate-high risk candidateに対する治療)は医学的および医療経済的に妥当な範囲にある。(保存的治療に比して)TAVIはコストも大きいが獲得QALYも大きいことは明らかとなったが、今後の課題は外科的AVRとTAVIの医療経済比較解析である。外科的AVRは入院保険点数は若年例では450万円とやや低いがそれでも入院期間が長い高齢者で併発症を有すると入院コストは激増する。Propensity matchを行った上、コスト比較解析を実施する。 本研究の過程で作成された、パーソナルコンピュータもしくはスマートフォンに実装可能なEQ-5D質問紙-効用値変換計算プログラムについては、要請に応じた各研究期間への公開を視野にいれている。医療経済解析を行う研究者に有用と考えられる。
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Causes of Carryover |
引き続き質問紙等を送付しさらなるQALY曲線を得る。そのために次年度も継続が必要。
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