2020 Fiscal Year Research-status Report
心臓リモデリングにおける抗線維化マクロファージの機能解析
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19K08542
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
砂河 孝行 自治医科大学, 医学部, 講師 (40418637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 憲彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (40422307)
前村 浩二 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90282649)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心臓リモデリング / 心線維化 / マクロファージ / 低酸素 / 低栄養 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
心線維化は心不全の独立した予後不良因子であるが、現時点で有効な治療法は存在せず臨床的に大きな問題となっている。その為、心線維化の病態・病理解明による治療戦略の確立が求められている。我々はこれまで心臓リモデリング過程において心臓組織内の低酸素領域に炎症性マクロファージ(M1-Mφ)が浸潤し、低酸素誘導性転写因子HIF-1α依存的にOncostatin M(OSM)を分泌して心臓線維化を抑制的に制御していること見出してきた。さらに、OSMによる線維化抑制メカニズムを検討により、OSMは線維芽細胞の筋線維芽細胞への活性化に重要な転写因子であるSmad2/3をMitogen-activated Protein Kinase(ERK1/2)の活性依存的に抑制を介して線維芽細胞の活性化を抑制していることが明らかとなった。 一方、心臓リモデリングの過程における線維芽細胞を抑制するメカニズムは明らかになってきたが、線維芽細胞がどのように活性化するのかについては不明である。心臓線維化領域は細胞成分が少なく虚血環境に陥っていることが知られている。このような環境下では通常、細胞のエネルギー産生能は低下し、タンパク合成が低下すると考えられた。そこで、虚血環境が線維芽細胞を活性化するのかについて細胞外に分泌されるコラーゲン量を指標に検証を行った。その結果、虚血環境を模した低酸素・低栄養条件下において線維芽細胞は活性化し、コラーゲン合成を促進することを見出した。現在、そのメカニズムについて検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線維芽細胞活性化メカニズムの解析から低酸素もしくは低栄養環境はコラーゲン合成を促進することを明らかにした。さらに、虚血環境を模した低酸素・低栄養の両環境下は各々単独環境下に比して著しくコラーゲン合成が上昇することも見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
虚血環境における線維芽細胞活性化機構について遺伝子発現及び細胞内代謝に着目し検討していく予定である。また、線維芽細胞の虚血環境における線維芽細胞活性化によるコラーゲン合成の生理的意義についても検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度において研究結果の発表及び研究に関する情報収集のために国内外の学会に参加する予定であったがコロナウイルスの感染拡大により参加することができず未使用額が生じた。 このため、国内外における学会での発表と情報収集については次年度行うこととし、繰越額はその経費に充てる。
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