2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of a Novel Model for Prediction Outcome in Severe Mitral Regurgitation Patients undergoing Percutaneous Mitral Valve Repair
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19K08550
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大野 洋平 東海大学, 医学部, 講師 (80383884)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心不全 / 弁膜症 / 僧帽弁閉鎖不全症 / 経皮的僧帽弁クリップ術 / 多施設共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化社会に伴い心不全による入院患者が急増しており、心不全患者に合併する僧帽弁閉鎖不全症は予後悪化および医療経済の圧迫に強く関連している。低心機能や高齢者心不全患者に多くみられる心房細動に伴う重症僧帽弁閉鎖不全症に関しては、これまで有効な治療法が存在しなかったが、現在では、特に手術リスクの高い高齢者に対しては、カテーテルを使用した低侵襲治療である経皮的僧帽弁クリップ術が、心不全再入院予防に大きく貢献している。 一方で、本治療の対象患者となる一定の基準はあるものの、この基準を満たしていてもすべての患者において有効とは言えず、本治療デバイスが高額(約220万~)であることを鑑みると、治療対象患者の選定にあたり、事前に治療の有効性が予測できるシステムの確立が極めて重要と考えられる。本研究では、当院において運用しているTokai Valve Registry [UMIN000036671]から治療効果の高い患者群を選定し、その結果をもとに、日本を代表する弁膜症治療施設が中心として構築されたOCEANレジストリー [UMIN000020423]のデータを使用して経皮的僧帽弁クリップ術の新規治療効果判定指標の同定を目的としている。 本年度は、Tokai Valve Registryのデータを用いて 解析を行った。その結果、術前心エコーによる僧帽弁閉鎖不全症の重症度および左室容積、MitraClip治療に適した僧帽弁の解剖、術中の至適エンドポイント、が 重要であることが示唆されたため、次年度ではOCEANレジストリーのデータを使用して解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
OCEAN-Mitral registryにはすでに1500例以上の患者データが登録予定となっており、かなり有用なデータ解析が行える可能性が高い。質の高いデータベース作成がこの研究の鍵となるため、多くの時間を費やしてデータベース作成のためのプラットフォーム構築を続けてきた。そのオンライン登録(EDC; Electronic Data Capture)がついに完成して、国内のハイボリュームセンター21施設のデータ蓄積が開始となった。進捗状況が「やや遅れている」最大の理由は、このEDCシステムの確立に時間を要したことである。一方で、このシステムが確立できれば、質の高いデータ収集ならびに解析が可能となるため、次年度はこのデータベースを使用した解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
OCEAN-Mitral registryの運用が開始となったため、次年度は1000例以上の患者データの解析が可能になると考えている。これまでの海外を中心とした報告により、治療効果の高いMitraClip治療のためには、1)適切な患者選択、2)十分な僧帽弁閉鎖不全の制御、3)十分な薬物療法、の組み合わせが重要であるとされている。 効果的なMitraClip治療を患者に提供するためには、術前検査による僧帽弁閉鎖不全症の重症度および左室容積、MitraClip治療に適した僧帽弁の同定、術中の適切なエンドポイントの決定、さらに術後薬物療法の最適化、が必要となる。そのため本研究では、(a)術前心エコー検査所見をもとにMitraClip治療急性期成功の予測スコアモデルを作成し、(b)術中の血行動態指標、具体的には左心房圧および左心室圧の持続モニタリングおよび治療前後の肺静脈血流パターンを使用しながら適切な術中エンドポイントを決定、(c)術後心不全治療薬の強化、と実臨床の時系列に沿った評価・解析を予定している。
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Causes of Carryover |
「次年度使用額が生じた理由」本来、レジストリー登録に関して、EDC入力システムに携わる専門スタッフ(看護師やアシスタントなど)を検討していたが、EDCシステムが遅れていたことから、その分費用がかからず、次年度使用額が発生した。 「次年度の使用計画」レジストリー登録の入力スタッフの人件費にあてる可能性あり。また、データ解析のためのパソコン・ソフトウェア購入費用、研究成果を国際学会および国際雑誌に発表するための費用などとして使用予定である。
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