2020 Fiscal Year Research-status Report
心臓常在マクロファージを介した尿酸による心房細動発症の新規分子機構の解明
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19K08557
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
經遠 智一 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60730207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 佩俐 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40464292)
久留 一郎 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60211504)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高尿酸血症 / マウス / 心臓常在マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動の危険因子として近年、高尿酸血症が関与することが報告されているが、詳細な機構は分かっていない。一方で、心臓に存在する組織常在マクロファージが心筋とギャップジャンクションを介して結合し、これらが破綻すると伝導障害が起きることが報告された。本研究では、高尿酸血症による心房細動が心臓の常在マクロファージの挙動の変化によって引き起こされている可能性を、in vivoマウスモデルおよびin vitroの解析を通じて検討することを目的とする。 本年度はまずマウスin vivoで高尿酸血症状態を作り出し、心臓常在マクロファージの数が変化するかを解析した。結果、心臓常在マクロファージの数に変化はなかった。次に心臓常在マクロファージを取り出し、in vitroで尿酸を添加して、マクロファージのイオンチャネル等の発現の変化を見るために、まず、in vitroで心臓常在マクロファージを培養、維持できるように条件を決定した。心臓常在マクロファージはあまり分裂せず、そのままでは死滅してしまうが、M-CSFを添加して培養することで、尿酸添加を行う、少なくとも3日間はin vitroで維持できることが判明した。 更に、追加で、心臓に存在するファイブロブラストが、心臓常在マクロファージに影響を与える可能性があるのではと考えて、心臓ファイブロブラストをセルソーターにて取り出すための条件設定を行った。結果として、CD45,Ter119,CD31すべて陰性で、Podoplanin陽性画分として心臓ファイブロブラストを取り出し、培養することに成功した。更に尿酸を添加することによってファイブロブラストが変化を見せることが、プレリミナリーな実験によって明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心臓常在マクロファージを摘出するには、ソーターが必要であるが、当大学のソーターが新たに部品を交換したこと、その後の安定までに時間がかかったこと、更には、コロナ禍のため、プラスチック機器の搬入が大幅に遅れたり、大学内での感染者が出て、大学での研究を控えざるを得ない状況になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroでの実験の準備が完了したので、心臓常在マクロファージを取り出し、in vitroでの尿酸の影響をパッチクランプによるイオンチャネルの変化、及び、Connexinなどの心筋細胞に影響を与える可能性があるギャップジャンクション蛋白などの遺伝子発現変化を検討する。 追加で、当研究室のプレリミナリーな実験において、尿酸が心臓のファイブロブラストに影響を与える可能性が出てきている。心臓ファイブロブラストが起点となり、心臓常在マクロファージに影響を与え、最終的に心臓へ影響する可能性が示唆される。そこで、心臓に存在するファイブロブラストにも検索範囲を広げ、尿酸が最終的に心臓に与える影響についての検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、納入器具の遅れが起きたこと、大学のソーターの利用が停止になったことによる。
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