2022 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤性心筋症早期診断を目指した非侵襲的心筋組織性状評価法の有用性の検討
Project/Area Number |
19K08579
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中森 史朗 三重大学, 医学系研究科, 講師 (10632359)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正明 三重大学, 医学系研究科, 学長 (00223181)
吉田 恭子 (今中恭子) 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00242967)
土肥 薫 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50422837)
佐久間 肇 三重大学, 医学系研究科, 教授 (60205797)
水野 聡朗 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (60378411)
藤本 直紀 三重大学, 医学系研究科, 講師 (80718289)
小川 朋子 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (90362334)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 薬剤性心筋障害 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で薬剤性心筋症動物モデルおいて病理組織学的所見(心筋細胞内空砲化、心筋浮腫、筋原線維脱落による細胞外腔増加、びまん性線維化)が左室収縮能低下に先行することが確認された。また、非侵襲的画像診断による心筋組織性状指標は、病理組織学的所見を反映し、抗がん剤投与中増加傾向を示し、薬剤性心筋障害を早期に検出できる可能性が示唆された。令和4年度はミニチュアピッグを用いた薬剤性心筋症モデルにて非侵襲的心筋組織性状評価法の早期診断に対する有効性および再現性を検証した。 ヒト乳癌化学療法プロトコールに準じて、化学療法群にはドキソルビシン(2mg/kg)を3週毎に計4回静脈内投与を行い、治療前、アンスラサイクリン1回投与後、2回投与後、3回投与後、4回投与後の計5回にわたり画像データが取得された。コントロール群と比較すると、化学療法群では第6週および9週目で心筋組織性状指標の上昇を認め、第12週目では統計学的な有意差を認めた。しかし、個体間での信号強度のばらつき、重なりを認め、反復測定分散分析では両群間の経時的変化に差異は認められなかった。血清学的バイオマーカー、心筋ストレイン解析も、大きなばらつき、化学療法群とコントロール群の数値に重複を認め、両群間で有意差はみられなかった。これらのバイオマーカーを臨床応用するためには、より精度の高い評価法が必要であると考えられた。一方で、がん免疫療法に限った心筋障害の早期発見、鑑別診断、治療効果モニタリングには、これらの心筋組織性状評価指標が有用であることが示唆された。
|