2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト臨床検体を用いた大動脈弁狭窄症の分子機序・血中病態予測マーカーの探索
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19K08585
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
青野 潤 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (70512169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 倫久 愛媛大学, 医学系研究科, 講師(特定教員) (20709266)
濱口 美香 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (80815928)
山口 修 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90467580)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / 二次元電気泳動 / 質量分析 / 網羅解析 / バイオマーカー / 創薬・化合物ライブラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈弁狭窄症(Aortic stenosis: AS)は重症化すると突然死・急性心不全など致命的転帰をたどる。 65歳以上の2-4%、その前段階の肥厚・効果は75歳以上の4分の1を占める本邦においてもAS発症・進展のメカニズム解明は重要な課題である。本年度はまず大動脈弁置換術の際に採取した患者の大動脈弁を石灰化部・非石灰化部(正常部+硬化部)に分割しその中で糖尿病、脂質異常症、冠動脈疾患の合併など患者背景を調節、サンプルを選択し2次元電気泳動を行った。その中で非石灰化部(正常部+硬化部)と石灰化部で発現に共通して差異があるタンパク質を選択した。 そのタンパク質の質量分析を行い、病態に関与している可能性のある候補分子を同定・選別した。それらの候補分子を認識する抗体を作成した。二次元電気泳動で石灰化部・非石灰化部で得た差異の再現性をウエスタンブロットを施行し検討した。確認実験においてもその再現性を確認した。また網羅解析で得られた分泌タンパクに関しては石灰化由来AVICsと非石灰化由来AVICsの培養上清中の濃度を測定するためサンプリングを行なっている。石灰化部位由来AVICsで高濃度分泌されるタンパク質に関してはELISAシステムを作成し患者血清中の標的タンパク質濃度を定量し、疾患予測バイオマーカーとしての有用性を明らかにする予定であり現在倫理委員会の承認のもと大動脈弁狭窄症患者の血液サンプルの採取も進めている。 今後も今回も網羅解析で候補に挙げられた分子が大動脈弁狭窄症の発症・進展に関与するかについて細胞・動物実験を中心とした研究を推進してく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次元電気泳動から質量分析を行い候補分子の同定に成功している。また二次元電気泳動において石灰化部・非石灰化部(正常部+硬化部)で全ての患者のブロットで差を認めたが実際に再現性があるかをウエスタンブロットを施行し確認した。確認実験でターゲットにした分子の差異において再現性も得ている。これらを同定した分子を中心に研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅解析で見出された候補分子が、大動脈弁の石灰化に機能的に関与するかを検討するため大動脈弁より大動脈弁間質細胞 (Aortic valve interstitial cells : AVICs)を採取し細胞実験を行う。候補分子をCRISPR-Cas9系で遺伝子欠損させる、または過剰発現させるレンチウイルスシステムを用いて分子の機能評価を行う。AVICsに対して石灰化刺激を施行しアリザリンレッドで石灰化の定量を行う。この石灰化刺激において上記システムで候補分子を発現欠損または過剰発現させることで候補遺伝子の石灰化への作用を検討する。同時にヒト臨床検体、大動脈弁狭窄症マウスモデルを用いた検討も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画よりも初年度の研究達成度にやや遅延が生じたため。
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