2021 Fiscal Year Research-status Report
肺線維化環境での免疫担当細胞のクロストークおよび加齢影響と治療応用についての研究
Project/Area Number |
19K08614
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
神尾 孝一郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (20465305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吾妻 安良太 日本医科大学, 医学部, 教授 (10184194)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 特発性肺線維症 / Macrophage polarization |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで骨髄細胞の抗線維化作用が確認されており、骨髄細胞をIL-4あるいはIL-4+TGF-b1で培養しブレオマイシン誘発肺線維症モデルマウスに投与すると、肺線維化は有意に抑制される。 本細胞のphenotypeをRT-PCRを用いて検討したところ、F4/80をマクロファージと同程度に発現していることが確認された。さらにこれらの細胞では、CD86は低下していたが、CD206、Ym-1、Arginase-IといったM2マクロファージのマーカーが増加しており、IL-4およびIL-4+TGF-b1で分化させた細胞は、M2-like マクロファージである事が示唆された。 これらの細胞を養子移入した後の細胞の分布を調べるために、GFPトランスジェニックマウスの骨髄細胞をIL-4などで分化させ養子移入し、肺内での分布を確認することを試みたが、養子移入後14日目にsacrificeした肺内では(ブレオマイシン投与後からは28日目)、GFP陽性細胞を確認することができなかった。またこれらの細胞から分泌される可能性のあるMMP-9を免疫染色などで確認を試みたが、MMP-9陽性細胞の存在は確認できなかった。 RT-PCRを用いた検討では、これらの細胞が抗線維化作用を有するMMP-13を高発現する事が確認された。MMP-13ノックアウトマウスの使用を検討したが直ぐに入手が難しいため、siRNAを用いてMMP-13をノックダウンし、その骨髄細胞の抗線維化作用への影響を検討することとした。採取した骨髄細胞をIL-4と培養後、siMMP-13を使用。この細胞をブレオマイシン投与開始後14日目に養子移入した。その14日後に肺線維化の程度をAshcroft scoreで評価した所、MMP-13をノックダウンした細胞でも抗線維化作用が認められた。 さらに本骨髄細胞における発現遺伝子を網羅的に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年の新型コロナウイルス感染症の急拡大による初回の緊急事態宣言を受けて、一時的ではありましたが研究室の機能が低下したことが要因として挙げられます。また実験補助者が自宅待機となってしまった時期もありました。さらにCOVID-19感染者の増加による病床の逼迫などもあり、呼吸器内科医としての業務が増加したことも要因として考えられます。 現在は研究室の機能も回復し、COVID-19感染症への対応を行いながらも、ほぼ通常通りの研究活動を再開させることができております。
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Strategy for Future Research Activity |
培養骨髄細胞の発現遺伝子の網羅的解析で、同細胞が有する抗線維化作用への関与が考えられる複数の候補が見出されています。今後はこれらの候補分子のノックアウトマウスを使用し、解析を進めて行く事を予定しています。 また近年、自然リンパ球の一つであるILC2の線維化病態への関与が報告されていますが、本研究で見出された細胞とこれらの細胞とのクロストークを検討して行きます。
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Causes of Carryover |
一昨年の新型コロナウイルス感染症の急拡大による初回の緊急事態宣言を受けて、一時的に研究室の機能が低下したことが要因として考えられます。また実験補助者が自宅待機となってしまった時期もありました。さらに病床の逼迫などもあり、呼吸器内科医としてのCOVID-19感染症に関する業務が増加したことも要因として挙げられます。 学会出張経費として見積もっていたものが、海外への渡航制限などもあり国際学会に参加できなかったことも次年度使用額が生じた理由として挙げられます。 助成金は前記の研究計画に従って適切に使用して参ります。
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