2020 Fiscal Year Research-status Report
IgG4関連呼吸器疾患におけるアレルギー性炎症の解析と新規治療法の探求
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19K08645
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松井 祥子 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 教授 (40334726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 洋 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (00322131)
伊藤 清亮 金沢大学, 附属病院, 医員 (10467110)
川野 充弘 金沢大学, 附属病院, 講師 (20361983)
早稲田 優子 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (80536037)
山田 和徳 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90397224)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / アレルギー性炎症 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、IgG4関連疾患(IgG4-RD)の呼吸器病変におけるアレルギー関連の病態の解明を目的として、ヒトIgG4-RDの呼吸器病変におけるアレルギー性炎症に関連する免疫環境についての検討を行い、Th2優位の免疫反応を有するLATY136F変異マウス(LATマウス)を用いて、その制御因子の探索することを目指している。 まずヒトIgG4-RDにおける外因性刺激の有無と、Th2のサイトカイン発現、線維化に関連する細胞外マトリックスの関与などを検討することを目的に、ヒトIgG4-RD検体(顎下腺・肺・リンパ節)において、自然免疫に関与するTLR7/9の発現を検討したところ、すべての検体でその発現を確認した。 次にIgG4-RDの病態形成に、これら外界刺激による自然免疫応答での上皮損傷とIL-33を中心とした2型免疫反応の活性化の関与を疑ったが、ヒトIgG4気管支肺胞洗浄液においては、IL-33、TSLPなどのグループ2型自然リンパ球(ICL2)のサイトカインは正常コントロールと有意差が無く、ICL2の関与は限定的と考えられた。 またヒトIgG4-RDの血清においては、正常コントロールに比して、IL-5、IL-13、IL-10、IL21、ペリオスチンの有意な上昇が認められた。Th2サイトカインの上昇、制御性サイトカインであるIL-10の上昇、B細胞の活性化を促すとされるIL-21の上昇などから、IgG4-RDにおいてはIgGやIgG4の産生とその制御が全身性に同時に生じていることが考えられた。ペリオスチンに関しては、アレルギー性炎症を反映しているかどうかを今後検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LATマウスは、マウスを扱っていた共同研究者の大学移動に伴い、昨年、福井大学にて飼育・実験の許可を得て飼育を開始した。現在交配中であるが、ホモのマウスが実験に使用できるまでは、しばらく時間かかる状態である。そのため、ヒトのIgG4-RDのアレルギー性炎症に関連する免疫環境の研究を先行させている。 1)ヒトIgG4-RDの気管支肺胞洗浄液(BALF)を用いて,Th2サイトカイン・IL-33・TSLPなどをマルチプレックスアッセイ法にて測定結果、Th2サイトカイン(Eotaxin,IL-5.IL-13)の有意な上昇があった。しかし気道のアレルギーに関与するICL2マーカーのIL-33やTSLPなIL-33などは有意差が無かった。またIL-10、IL-21も有意差がなかった。 2)ヒトIgG4-RDの血清においては、IL5, IL-13の上昇及び制御性サイトカインであるIL10、IL21が有意に上昇していた。またペリオスチンの上昇もみられた。 3)ヒトIgG4-RDでは、顎下腺や鼻腔、縦隔リンパ節の罹患者が多いことから、上気道における自然免疫の関与を組織にて検討した。ヒトIgG4-RDの組織(顎下腺・肺)において、自然免疫応答に関与するTLR7/9の発現を検討した。その結果、顎下腺・肺において、両者の発現を確認した。自己免疫性膵炎ではTLR7の発現が強いことが報告されているが、今回の組織検討では、炎症性偽腫瘍型のIgG4-RD肺組織においてTLR9の発現も強く認められた。しかし抗IL-33抗体を用いた免疫組織染色にて、IL-33は上皮における発現のみが強く発現していた。上記に示したようにBALFや血清などでも健常人との有意差は無く、ICL2の病態形成への関与は限定的と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト検体におけるTh2サイトカインの中ではIL-5, IL-13の産生が、局所・血清ともに有意に上昇していた。しかしIL-33には有意差が無かったため、ICL2の関与は限定的と考えられた。今後は、線維化関連の細胞外マトリックス (ペリオスチン,ガレクチン3等)の発現・産生をヒト組織において評価し,IgG4-RDにおけるアレルギーと線維化の病態をさらに探求する。一方LATマウスのこれまでの検討結果から、ヒトIgG4-RDのモデルマウスと考えられ、特にIL-13はヒト、LATマウスともに有意な上昇を確認しており、ホモマウスが安定的に生育可能になれば、IL-13などを標的とした治療戦略を考えていきたい。
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Causes of Carryover |
(理由)実験に用いるLAT Y136変異マウスは、ヘテロ同士のマウスを交配し、1/4の確率で得られるホモマウスを使用する必要があるため、実験に時間がかかるマウスであるが、共同研究者の大学異動のため、フランスのマイセン教授からの再移譲許可から行ったため、研究が遅延している。 (計画)現在はマウス飼育中であり、交配を始めた。使用可能となれば実験環境を整えるために使用予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] The pronounced lung lesions developing in LATY136F knock-in mice mimic human IgG4-related lung disease.2021
Author(s)
Waseda Y, Yamada K, Mizuguchi K, Ito K, Watanabe S, Zuka M, Ishizuka T, Malissen M, Malissen B, Kawano M, Matsui S.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 16
Pages: e0247173
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Hypocomplementemia is related to elevated serum levels of IgG subclasses other than IgG4 in IgG4-related kidney disease.2021
Author(s)
Fujisawa Y, Mizushima I, Yamada K, Yamamoto M, Saeki T, Matsui S, Tsuge S, Hara S, Ito K, Fujii H, Takahashi H, Nomura H, Kawa S, Kawano M.
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Journal Title
Mod Rheumatol
Volume: 31
Pages: 241-248
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Phenotyping of IgG4-related diseases based on affected organ pattern: A multicenter cohort study using cluster analysis.2021
Author(s)
Niwamoto T, Handa T, Matsui S, Yamamoto H, Yoshifuji H, Abe H, Matsumoto H, Kodama Y, Chiba T, Seno H, Mimori T, Hirai T
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Journal Title
Mod Rheumatol
Volume: 31
Pages: 235-240
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Impaired expression of innate immunity-related genes in IgG4-related disease: A possible mechanism in the pathogenesis of IgG4-RD.2020
Author(s)
Nakamura T, Satoh-Nakamura T, Nakajima A, Kawanami T, Sakai T, Fujita Y, Iwao H, Miki M, Masaki Y, Okazaki T, Ishigaki Y, kawano M, Matsui S, Saeki T, Kamisawa T, Yamamoto M, Hamano H, Origuchi T, Hirata S, Tanaka Y, Tsuboi H, Sumida T, Okazaki K, Tanaka M, Chiba T, Mimori T, Umehara H.
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Journal Title
Mod Rheumatol
Volume: 30
Pages: 551-557
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Seventeen cases of “IgG4-positive interstitial pneumonia” characterized by elevated serum IgG4 levels and IgG4-positive plasma cell infiltrations in the lungs.2020
Author(s)
Komatsu M, Yamamoto H, Matsui S, Baba T, Miyamoto A, Handa T, Tomii Y, Waseda Y, Bando M, Ishii H, Miyazaki Y, Iwasawa T, Johkoh T, Yoshizawa A, Terasaki Y, Hebisawa A, TakemuraT, Kawabata Y, Hanaoka M, Ogura T.
Organizer
ERS international virtual congress 2020
Int'l Joint Research