2023 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析法を用いた肥満による喘息の重症・難治化因子の同定と治療法の開発
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19K08663
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大河原 雄一 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (40333801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 務 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70245778)
渡邉 一弘 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (10382673)
中川西 修 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (50296018)
大野 賢一 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (20347272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 肥満 / 内臓脂肪組織 / 薄層クロマトグラフィー / 液体クロマトグラフィータンデム質量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息(以下、喘息)の基本病態である慢性気道炎症に対する吸入ステロイドの普及により、喘息による死亡者数は年々減少してきている。その一方で、高齢者の重症・難治性喘息患者の喘息死亡者数の減少はわずかで、「喘息死ゼロ作戦」を推進している我国としては、この重症・難治化の病態を明らかにし、新たな治療法を開発することが急務となっている。近年、社会・医療経済的に問題となっている肥満が喘息の重症・難治化に関与していることが明らかになり、我々もこれまでの研究で肥満による喘息悪化の機序を検討してきた。その結果、肥満による内臓脂肪組織の機能的変化が喘息悪化に関与していることが示唆されたが、内臓脂肪組織の直接的な作用やその作用機序に関しては不明な点が多く残されている。本研究では、多様な生物分子を分析対象とできる特性をもつ質量分析法を用いて、肥満による内臓脂肪組織の機能的変化に関与している未知の因子を同定することで喘息の重症・難治化の機序を明らかにすることを目的とする。 これまで、肥満マウス喘息モデルの内臓脂肪組織(腎周囲脂肪組織)の細胞浮遊液を非肥満マウス喘息モデルの腹腔に移植することで、抗原吸入後の喘息反応が非肥満マウス喘息モデルと比較して有意に増強すること明らかにし、肥満による内臓脂肪組織が喘息悪化に関与することを実際に確認した。次に抗原吸入前後で非肥満ならびに肥満マウス喘息モデルの内臓脂肪組織を脂質分子に絞って薄層クロマトグラフィー(TLC)で検討した結果、抗原吸入前後で発現が変化する複数の分子を同定することができた。現在、その複数の分子を抽出し、液体クロマトグラフィータンデム質量解析(LC-MS/MS)法を用いて解析中であるが、溶媒(移動相)等、最適な分析条件を検討しながら目的とする喘息増悪分子を分離・検出しているところである。
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Research Products
(2 results)