2021 Fiscal Year Research-status Report
尿細管特異的保護機構発現による糖尿病性腎臓病の新たな治療戦略の構築
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19K08679
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉山 斉 岡山大学, 大学病院, 教授 (60325090)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トレフォイルファクター / 尿細管上皮細胞 / 糖尿病性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
トレフォイルファクター(TFF)は消化管粘膜上皮を含む種々の臓器の上皮細胞から産生される粘膜保護蛋白である。TFFファミリー蛋白は、TFF1~TFF3に分類される。そのうちTFF3は腎臓の尿細管上皮細胞に発現し、腎障害を受けた際にその尿中排泄が増加する。 最近、糖尿病性腎臓病(DKD, diabetic kidney disease)の疾患概念が提唱されており、これは従来の糖尿病性腎症を包含するもう少し広い概念である。糖尿病性腎症に変わって今後の腎不全治療の主要ターゲットとなる可能性がある。 本年度は研究計画の最終年度にあたり「培養尿細管上皮細胞を用いた糖尿病性腎臓病におけるTFF3発現調節の細胞内シグナル伝達機構の解明」について、主として培養細胞を用いた検討を行った。そのうち「培養尿細管上皮細胞の高糖濃度刺激によるTFF3 発現変化の検討」について有意な結果を得た。一方で「TFF3遺伝子の過剰発現・ノックダウンによる高糖濃度下の線維化抑制・進展効果」については、COVID-19の影響で試薬入手の遅延等が重なり、再現性を証明するのに十分な検討が行えていない段階にある。従って補助事業期間を延長して、培養腎尿細管上皮細胞を用いた高糖濃度下の線維化抑制・進展効果の機序について、今後更なる検討を行うことが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により試薬入手の遅延等が重なり、再現性を証明するのに十分な検討が行えていない段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで研究は概ね順調に経過していたが、今年度はやや遅れており、今後は培養腎尿細管上皮細胞を用いて、TFF3遺伝子の過剰発現・ノックダウンによる高糖濃度下の線維化抑制・進展効果の解明に重点を置いて、研究を推進する。今後、COVID-19の拡大状況により、研究活動の制限がなされる可能性があるが、許可される範囲内で柔軟に対応して進める予定である。
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Causes of Carryover |
補助事業期間を延長したため、次年度使用額が生じている。培養腎尿細管上皮細胞を用いた高糖濃度下の線維化抑制・進展効果の機序について、今後更なる検討を行う計画である。
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Research Products
(14 results)