2022 Fiscal Year Annual Research Report
尿細管特異的保護機構発現による糖尿病性腎臓病の新たな治療戦略の構築
Project/Area Number |
19K08679
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Research Institution | Kawasaki College of Allied Health Professions |
Principal Investigator |
杉山 斉 川崎医療短期大学, 医療介護福祉学科, 教授 (60325090)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トレフォイルファクター / 尿細管上皮細胞 / 糖尿病性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
トレフォイルファクター(TFF)は消化管粘膜上皮を含む種々の臓器の上皮細胞から産生される粘膜保護蛋白である。TFFファミリー蛋白は、TFF1~TFF3のファミリーメンバーから構成される。そのうちTFF3は腎臓の尿細管上皮細胞に発現し、腎障害を受けた際にその尿中排泄が増加する。 最近、糖尿病性腎臓病(DKD, diabetic kidney disease)の疾患概念が提唱されており、これは従来の糖尿病性腎症を包含する広い概念である。糖尿病性腎症に変わって今後の腎不全治療の主要ターゲットとなり得る可能性がある。 本年度は研究計画の最終年度にあたり「培養尿細管上皮細胞を用いた糖尿病性腎臓病におけるTFF3発現調節の細胞内シグナル伝達機構の解明」について、主として培養尿細管上皮細胞を用いた検討を継続した。そのうち「TFF3遺伝子の過剰発現・ノックダウンによる高糖濃度下の線維化抑制・進展効果」についてデータ解析を行ったが、高糖濃度下における線維化因子の有意な抑制効果は得られなかった。 研究期間全体を通じて、DKDにおいて尿中TFF3濃度は、既知の進行因子である尿中アルブミン排泄と相関することを明らかにした。さらに正常群よりも微量アルブミン尿群で尿中TFF3の排泄が亢進し、尿中TFF3は尿細管障害マーカーである尿中α1-MGと有意に相関した。すなわち、DKD早期において尿細管障害の指標として尿中TFF3が上昇することが示唆された。培養腎尿細管上皮細胞におけるTFF3発現の細胞内シグナル伝達機構やTFF3過剰発現による線維化抑制の治療効果については未解明である。
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Research Products
(11 results)